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【解説!】サイラムザ:ラムシルマブの副作用と対策

ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです

抗がん剤治療は複数を組み合わせて治療を行うことで、治療効果が増幅することから2剤・3剤と追加した組み合わせ療法が多く存在します。組み合わせた治療方法の中で、分子標的薬という種類の抗がん剤が含まれていることがあります。この分子標的薬はがん細胞だけを狙って攻撃してくれる薬剤であり、組み合わせることで治療成績の向上に大きく寄与していることが考えられます。

分子標的薬はXXXマブと呼ばれることが多く、紹介するサイラムザ:ラムシルマブもその一つであります。


分子標的薬を使えば、全部のがん細胞が破壊されるから治るんじゃないの?
がん細胞は同じ形の細胞が増殖しているわけではなく、様々な形をしています。そのため、一部には分子標的薬が良く聞きますが、一部には効果が得られず増えてしまいます。そのため殺細胞性と呼ばれる良い細胞悪い細胞関係なく攻撃する薬剤と組み合わせて効果を高めようとしています。

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サイラムザ:ラムシルマブ

サイラムザ:ラムシルマブについて

がん細胞の増殖・転移に必要な栄養や酸素を血液から大量に取り込こみ増殖します。その際、体の中にある血管を自分自身へ引き込み、自分(がん細胞)に栄養が送られるよう新しい血管をつくります。これを「血管新生」といいます。その際にでる物質である血管内皮増殖因子(VEGF)を出し、血管新生を行います。サイラムザ:ラムシルマブは、この「血管新生」を阻害する(VEGFがくっつくところを阻害)お薬です。サイラムザ:ラムシルマブを投与すると新しい血管が形成されなくなるため、がんは栄養や酸素が不足して増殖できなくなります。

治療方法は、がん細胞に対して兵糧攻め作戦です

サイラムザ:ラムシルマブの適応

治癒切除不能な進行・再発の胃癌

サイラムザ:ラムシルマブを使用した治療方法は2つあります。

  • サイラムザ:ラムシルマブ単独投与療法
  • サイラムザ:ラムシルマブ+パクリタキセル療法

サイラムザ:ラムシルマブの治療スケジュールは、2週間毎に1回、約 60 分で点滴します。サイラムザとパクリタキセルを併用して治療を行うこともありますがサイラムザ:ラムシルマブの投与方法は変わりません。

サイラムザ:ラムシルマブ+パクリタキセル療法のスケジュール

1コース(4週間:28日間が1セット)これを繰り返します
  1週目 2週目 3週目 4週目
サイラムザ 〇(60分)   〇(60分) お休み
パクリタキセル 〇(60分) 〇(60分) 〇(60分) お休み

現在、パクリタキセルではなく、アブラキサン:ナブパクリタキセルに置き換えて投与することでも治療効果が報告されている。

治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌

サイラムザ:ラムシルマブを使用した治療方法は

  • サイラムザ:ラムシルマブ+FOLFIRI療法

サイラムザ:ラムシルマブ+FOLFIRIの治療スケジュールは、サイラムザ:ラムシルマブもFOLFIRI療法も同じ日に投与し2週間毎に1回実施します。サイラムザ:ラムシルマブは約 60 分で、FOLFIRI療法は約2時間強で点滴します。

サイラムザ:ラムシルマブ+FOLFIRI療法スケジュール

1コース(2週間:14日間が1セット)これを繰り返します
  1週目 2週目 1週目 2週目
サイラムザ 〇(60分) お休み 〇(60分) お休み
FOLFIRI 〇(120分) お休み 〇(120分) お休み
  1. サイラムザ(60分間点滴静注)
  2. イリノテカン(90分間点滴静注)∔レボホリナート(120分間点滴静注)≪同時投与≫
  3. フルオロウラシル(2~4分間短時間注射)
  4. フルオロウラシル(46~48時間持続静注)

の順番で投与するため、約3時間程度かかります。また5-FUが持続点滴を行いますので翌々日まで持続注射が行われます。


切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

サイラムザ:ラムシルマブを使用した治療方法は

  • サイラムザ:ラムシルマブ+ドセタキセル療法

サイラムザ:ラムシルマブ+ドセタキセルの治療スケジュールは、サイラムザ:ラムシルマブもドセタキセル療法も同じ日に投与し3週間毎に1回実施します。サイラムザ:ラムシルマブは約 60 分で、ドセタキセル療法は60 分で点滴します。

サイラムザ:ラムシルマブ+ドセタキセル療法スケジュール

1コース(3週間:21日間が1セット)これを繰り返します
  1週目 2週目 3週目 1週目
サイラムザ 〇(60分) お休み お休み 〇(60分)
ドセタキセル 〇(60分) お休み お休み 〇(60分)

2週間毎では体重当たり8㎎(8mg/kg)で投与しておりますが、3週間毎になると10㎎/kgと少し量を多くして投与します。


がん化学療法後に増悪した血清 AFP 値が 400 ng/mL 以上の切除不能な肝細胞癌

サイラムザ:ラムシルマブを使用した治療方法は

  • サイラムザ:ラムシルマブ単独投与療法

サイラムザ:ラムシルマブの治療スケジュールは、2週間毎に1回、約 60 分で点滴します。サイラムザとパクリタキセルを併用して治療を行うこともありますがサイラムザ:ラムシルマブの投与方法は変わりません。

サイラムザ:ラムシルマブ単独

1コース(2週間:14日間が1セット)これを繰り返します
  1週目 2週目 1週目 2週目
サイラムザ 〇(60分) お休み 〇(60分) お休み

サイラムザ:ラムシルマブの注意して欲しい副作用と対策

治療を始める前に教えていただきたいこと

  • 現在使っている薬は、薬局で買ったお薬も含め、すべて主治医・薬剤師にお知らせください。薬物相互作用を確認いたします。
  • 以前にお薬や注射の治療を受けて、発疹やかゆみなどが出たことがある方は、あらかじめ主治医・薬剤師に申し出てください。抗体製剤になりますので投与初回のアレルギー反応がないか注意深くモニタリングを行います。
  • 他の医師または歯科医師の治療を受けるときは、アバスチンを含む治療を受けていることを必ず伝えてください。副作用の中に創傷治癒遅延という「傷の治りが悪くなる」という副作用がございます。アバスチンをお休みすることで回避することができますので安全性を確保するためにお伝えください。

高血圧

自覚症状があまりあらわれないので、治療期間中は定期的に血圧を測定することが大切です。血圧計をご購入いただき、毎日測定することをお勧めいたします。急激な血圧の上昇を起こす可能性もあります。万が一著しい上昇があった場合、血圧を下げる飲み薬(降圧薬)による治療を行います。下記のような症状がある場合には、必ず医師・薬剤師・看護師にご相談ください。

  • 安静時にくり返しの測定をしても、最大(収縮期)血圧が180mmHgまたは最小(拡張期)血圧が120mmHgを超える
  • 意識がなくなる、まひが出る、めまいがする
  • がまんできない頭痛、吐き気がする、ふらつき、けいれんがある

粘膜からの出血(鼻、歯肉、腟など)

粘膜から軽度の出血がみられることがあります。鼻血、歯ぐきなどからの出血は通常軽く、自然にまたは圧迫することで止まります。 下記のような症状がある場合には、必ず医師・薬剤師・看護師にご相談ください。

  • 鼻血や歯ぐきなどからの出血が10〜15分たっても止まらない
  • 手術した傷口がひらく、出血する
  • 口から血を吐く(吐いた血のおおよその量や色を担当医に伝えてください)
  • 血便・タール便が出る

その他の症状

発熱

血液中の白血球数や好中球数が減少することにより、感染症にかかる可能性が高くなります。特に、毎日体温を測り、発熱に注意してください。

倦怠感(だるさ)

無理をせず生活の中に上手に安静を取り入れましょう。つらいときは遠慮なく、担当医や看護師に相談しましょう。

下痢

水分の補給を心がけ、脱水に注意しましょう。下痢が起こると飲水を減らそうとされる方が多いですが、本当に脱水にすぐになります。注意していください

たん白尿

尿中に通常よりも多い量のたん白がみられる場合は、腎臓の働きが悪くなっている可能性があります。定期的に尿検査を受けながら確認をしていきます。


最後までご覧いただきありがとうございます。 

読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。

薬剤師まさ

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