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がん治療の痺れ:末梢神経障害とがん治療

ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。

抗がん剤の治療によって【痺れ:しびれ】が出現することをご存知でしょうか。抗がん剤の種類によって痺れが出現することがあります。それを「末梢神経障害」と表現します。医療用語でもっと正確に表現すると「末梢性運動ニューロパチー」もしくは「末梢性感覚ニューロパチー」となりますが、基本的には末梢神経障害と言われたりします。 

痺れって言われても想像がつかないなぁ
皆さん色々な表現をされていますね。「砂の上を素足で歩いている」や「薄い膜が一枚まとっている感じ」など表現されています。
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末梢神経障害とはどういう副作用 

末梢神経障害とは、基本的には指先・足の裏に拡がる痺れであり、抗がん剤の投与が続いてくると出現してくる副作用の1つです。すべての薬が発症するわけではなく特定の抗がん剤を使用している方になります。

これを使用していたら末梢神経障害に注意せよ  

末梢神経障害に注意する薬剤を図にまとめてみました。 またそれを含む治療方法についてまとめてみました。 

抗がん剤の種類(お薬ごと)

一般名:抗がん剤 販売名:抗がん剤 対象疾患
 ビンクリスチン オンコビン  悪性リンパ腫等
 ビンブラスチン エクザール  悪性リンパ腫等 
 パクリタキセル タキソール  肺がん、胃がん等 
 ナブパクリタキセル アブラキサン  肺がん、胃がん等 
 ドセタキセル タキソテール  肺がん、前立腺がん等 
オキサリプラチン エルプラット 胃がん、大腸がん等
ボルテゾミブ ベルケイド 多発性骨髄腫等

抗がん剤の治療方法(レジメンごと)

抗がん剤(略語) 痺れを誘発する薬剤を含む治療方法
オンコビン (VCR)  R-CHOP療法 悪性リンパ腫治療
エクザール (BVL) ABVD療法 ホジキンリンパ腫
タキソール (DTX) ドセタキセル単独療法 乳がん、胃がん、肺がん
アブラキサン (nabPTX) アブラキサン単独療法 胃がん、乳がん、肺がん
タキソテール (PTX) ラムシルマブ+PTX 胃がん
エルプラット(L-OHP) FOLFOX/XELOX 胃がん、大腸がん
ベルケイド(BTZ) VRd療法 多発性骨髄腫

受けている治療の名前や薬の名前がある方、一部含まている治療方法でも痺れが必ず出現します。痺れの状態について、日々注意深くCheckしてください。 


実は、痺れが出やすい方がいます 

抗がん剤による痺れは、糖尿病を合併している場合、糖尿病じゃない人に比べて末梢神経障害が誘発されやすいと報告されています。

また先生の診察の前では、緊張して大丈夫じゃないことも「大丈夫です‼」と言っていませんか?痺れは先生から見えません必ず伝えてください。 

最大級の痺れが10と想像したら今これくらい」や「日常生活でまだできるもの、もうできなくなったもの」について教えてもらえると良くわかります。 小さな変化でも構いませんよ。しっかり教えてくださいね。我慢は絶対悪化するだけです。

痺れの治療

治療方法

正直に申し上げると良くなることはありません。少なからず違和感は残る可能性があります。薬剤の種類によっては年単位で改善されて元に戻る方もいらっしゃいますが、基本的には違和感が残ってしまいます

また治療方法に関しても痺れの治療薬は存在しますが、治療効果はあまり期待できないと思っていただいても過言ではありません。痺れの薬としてもらっている役割は、症状の緩和/軽減を狙っているものと理解していただければと思います。

末梢神経障害の症状緩和に用いられる薬剤として、ビタミン剤・抗痙攣薬・抗うつ薬などが挙げられる。調べると「痙攣したことないのにこんな薬?」「私、うつ病じゃないのにうつ病の薬が痺れの薬として処方された」などびっくりすることがあると思いますが、しっかりと効果が報告されているものになります。また痺れが強く痛みの緩和目的として、鎮痛薬を用いることもある。


日常生活の動作に置き換えて教えてください

末梢神経障害は外見からは判断することはできず、しっかりと伝えていただく必要があります。痺れがありますと言われてもなかなか状況が掴みにくいので、ぜひ生活の動作に置き換えて表現してください。大切なことはもう一度載せます。

箸が操作しにくい」,「ボタンがとめにくい」,「ペットボトルのふたが開けにくい」,「文字が書きにくい」や「リモコン・スマートフォンの操作がしにくい」など生活環境に置き換えて表現してもらえると対策がスムーズに検討できます。

患者さんからよくある質問と回答

私は現在、大腸がんの治療でFOLFOX療法をしていますが、オキサリプラチンによる痺れで薬を止めたら、効果が弱くなりますか?
FOLFOX療法のオキサリプラチンによる末梢神経障害は、症状緩和するまで休薬が推奨されます。痺れが落ち着くまで休んでから再開しても治療効果は変わらないことが証明されています。我慢せず教えてください。
末梢神経障害は治りますか?
投与継続する限り症状は、少なからず増悪します。痛み止めや緩和させる薬を使いながら治療していきましょう。痺れを引き起こす薬が投与終了後した場合、半年から年単位で軽減してくると言われております。個人差がありますので、絶対とは言えません。
どのくらいの痺れが強くなったら伝えればいいですか 
末梢神経障害の出現があれば、少しでも伝えてください。重篤化した場合、軽減してくる時間もゆっくりになってしまいます。

最後までご覧いただきありがとうございます。 

読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。

薬剤師まさ

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