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【必見!】グレープフルーツジュースだけ?果物と抗がん剤の関係

ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。

よく「グレープフルーツジュースと一緒に飲まないようにしてください」なんて薬剤師から聞いたことありませんか?なぜグレープフルーツジュース?みかんジュースはOK?ジュースではなくグレープフルーツは食べてもOKなの?なぜグレープフルーツジュースと名指し?と疑問に思いますよね。

実際私が指導した方でも「えっ…生絞りグレープフルーツサワーはダメですか?」と糖尿病の治療開始されている方に聞かれ、「お酒も控えましょう」とお伝えし、かなり凹まれてしまった方がいらっしゃいました。

さて、グレープフルーツジュースと抗がん剤の関係ですが、一緒に飲まないようにと注意喚起されている理由には血液中の抗がん剤の濃度を上昇させ、副作用発現を高める可能性が考えられます。グレープフルーツジュース以外にも血液中の濃度を上昇させることがありますので、詳しく解説したいと思います。

グレープフルーツジュースにも沢山あるけど、全部だめ?
全部ではありません。医療従事者が言うグレープフルーツジュースは、100%グレープフルーツジュースを指していることが多く、30%果汁では該当しない可能性もあります。ただやめたほうが良いのは確実ですけどね。

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グレープフルーツジュースと薬

グレープフルーツジュースと薬の関係

グレープフルーツジュースは、一部の薬剤との相互作用があるとされています。もっとも有名なのでは血圧降下薬であるカルシウム拮抗薬(アムロジピンなど)との関係で、この薬剤の血中濃度を上昇させ、血圧を下げすぎてしまう可能性が報告されています。この現象は、一部の抗がん剤でも同様の可能性が報告されており、血圧以上に危険を伴う可能性があります。


グレープフルーツジュースと相互作用の理由

薬は胃の中で崩壊し、有効成分が消化液に溶け出します。そして溶け出した薬は、食事中の栄養素と同じように、小腸から吸収されます。最終的に小腸で吸収された薬剤は、肝臓を通過してから全身に到達します。

肝臓では必ず一定量を便や尿として排泄しやすい形に変換します(これを分解と表現されます)。従って肝臓で分解する量を考慮して薬の効果が残るように用量を設計して決められています。もし分解する量が減れば、薬の血液濃度は上昇し効果が強く出てしまいますよね。

分解は肝臓以外でも行われており、小腸の細胞内部で分解を行っております。分解するために機能する代謝酵素CYP3A4は、グレープフルーツ由来の成分で機能が抑えられてしまいます。代謝酵素CYP3A4で分解される薬の場合には、グレープフルーツ由来の成分によって分解量が減少することで吸収量が増加し、その結果、薬の効き目が強まり、副作用のリスクが高まります。


グレープフルーツジュースは経口抗がん剤だけが影響する?

実はそうです。腸管の吸収が影響を及ぼすので、あまり気にしなくても良いと言われているものが多いです。ただ注射剤にはそこまで気にしないといけないわけではありません。イリノテカン(トポテシン)にも、グレープフルーツジュースとの併用は注意するように記載されています。臨床試験の結果というよりは、CYP3A4に関連するからという理由が強いです。


グレープフルーツジュース以外の影響する果物

グレープフルーツジュースが問題ではなく、グレープフルーツジュースが持つ特徴が薬と影響を及ぼします。具体的には薬物との相互作用に関与する成分がフラノクマリン類と言われています。

どんなものに含まれているか(効果を増強してしまう)というと、柑橘類では、夏ミカン・ダイダイ・サワーオレンジ・ブンタン(ザボン)・絹皮(安藤みかん)・スウィーティー・ハッサク・晩白柚・金柑・ライムなどが挙げられます。柑橘系以外の食品では、パセリ・セロリ・ミツバ・イチジク・ざくろなどが挙げられます。

ただ温州みかん・カボス・バレンシアオレンジ・マンダリンオレンジ・ネーブル・日向夏・レモン・ゆず・リンゴ・ブドウ・などでは、効果を増強しない可能性が高いといわれております。

ではなぜジュースが注意喚起されているのか
濃度が違うからです。

ジュースにするためには何個もグレープフルーツを使用しています。またグレープフルーツの外側の皮と果肉の間の白い部分(アルベド)に薬に影響を及ぼすフラノクマリン類が含まれています。よって100%ジュースは、実やアルベドが含まれているため特に注意しなければなりません。

それ以外にもグレープフルーツジュース関連の加工食品の中でも、果皮を含むマーマレードなどは、その果皮の原料にもよりますが、フラノクマリン類が含まれている可能性が高い食品です。ほかのジャムなどで代用される方がいいでしょう


実際の報告例

「これは癌の試験では初めて薬物-食物間相互作用を利用した試験である」と論文内に述べられているシロリムス+グレープフルーツジュース併用投与を行った臨床試験です。実際にシロリムスはリンパ脈管筋腫症(LAM)の治療薬ではありますが、抗がん剤と食品の相互作用について検討されています。

この報告の中にはグレープフルーツジュースとシロリムスを併用した場合、350%程度血液濃度を上昇させたという報告がでており、3倍量の服用と同等の結果が出ております。

副作用が起こらないようにするためには、服用しないことをお勧めします。またグレープフルーツジュースを服用することで、完全に代謝酵素の影響が回復するには数日必要とされています。1日空けたから大丈夫というわけではありません。注意していください。

抗がん剤治療を実施している最中は、避けていただくことをおすすめします。ただグレープフルーツジュースによる影響は、個人差があるものです。食べてしまったから問題というわけではありませんのでご心配なく。積極的に摂ることは避けましょうね


最後までご覧いただきありがとうございます。 

読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。少しでも参考になった方はぜひ下のboxをポチっとお願いいたします。

薬剤師まさ

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