ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。
抗がん剤治療にもいつか終わりがあります。その終わりは治療しなくても良い状態まで回復することができた場合、治療の効果が得られなくなってしまった場合、私が最も避けたい副作用が辛くて続けられなくてやめてしまう場合などが考えられます。『もし抗がん剤治療をやめたら』と悩まれている時に、皆様の参考になれば幸いです。
抗がん剤治療
抗がん剤治療とは
抗がん剤治療は生存期間を延長させることを目的とした治療方法であり、現在の医療では、完治するためには手術しかありません。血液がんなど一部の疾患では、抗がん剤治療を用いて完治(寛解)を狙いますが、多くの場合延命を期待して治療するものであります。
抗がん剤の標準療法
抗がん剤治療は、多くの場合ガイドラインと呼ばれる指南書を元に治療されています。その指南書に基づいた治療を標準療法と呼ばれ、現在の報告されている中で、世界一最高な医療であるとされています。とても大事なことなのでもう一度…
抗がん剤治療をやめる時
抗がん剤治療の効果が得られなくなってしまった場合、次の治療に切り替え治療を続けていきます。それがダメなら次の治療に切り替えていき、手立てがなくなったら緩和。このイメージがあまりにも強すぎていて、緩和=もう見捨てられたと感じ取る方が少なくありません。
緩和は治療した時から始まっています!
2次3次治療と進む場合、積極的な抗がん剤治療の強度が低下する一方、緩和医療の提供が徐々に増えていきバランスを取っているのが正しい考え方です。
緩和医療
緩和ケアとは
痛みや、そのほかの苦痛となる症状を緩和する。
- 生命を重んじ、自然な流れの中での死を尊重する。
- 死を早めることも、いたずらに遅らせることもしない。
- 死が訪れるまで、患者さんが自分らしく生きていけるように支える。
- 患者さんの治療時から、患者さんと死別した後も、ご家族を支える。
- 患者さんやご家族に、心のカウンセリングを含めたさまざまなケアをチームで行う。
- 生活の質(クオリティオブライフ:QOL)を向上させ、前向きに生きるちからを支える。
- がん治療の初期段階から、外科手術、化学療法、放射線療法などと連携しながら、緩和ケアを行う。
と定義されており、無意味な抗がん剤をやめ副作用で苦しむことなく過ごすことが示されています。
もし抗がん剤治療をやめたら?
これは3パターンあるかと思います。治療しなくても良い状態まで回復することができた場合、治療の効果が得られなくなってしまった場合、私が最も避けたい副作用が辛くて続けられなくてやめてしまう場合などが考えられます。
治療しなくても良い状態まで回復することができた
これはハッピーですよね?喜んで抗がん剤はやめましょう。稀に手術後、エビデンスも何もない抗がん剤治療を「念のため」と受けている方がいます。個々の考えがあると思いますが、万が一再発した際には、予防で使用していた抗がん剤の選択肢がなくなると思います。私はやめた方がいいと考えています。 一個人としての意見ですが…
治療の効果が得られなくなってしまった
一般的な治療の変更はこれかと思います。腫瘍のサイズが大きくなってしまったり、新しい場所に新たながん細胞が出現したりすることで検討されます。
仮に2次治療に入る直前でやめた場合、ほとんどのがん治療において、明らかに生存期間が短くなることは事実です。患者さん自身の価値観の中で、少しでも続けてもいいかもと思えるのであれば、私は続けた方がいいと思います。
4回目の再発で5種類目の抗がん剤治療前であった場合、身体がかったるくて寝ている時間の方が長いなど副作用やがんによる影響が大きい場合、これはよく話し合う必要があると思います。5次治療で有効である治療方法は無いと思います。とても副作用が辛い場合には抗がん剤治療をしない選択の方が良いこともあります。
副作用が辛くて続けられなくてやめたい
これは医療従事者にぜひ相談してください!私が最も恐れているやめ方です。本来であれば、治療を続けていることで生存期間を長くすることができたのに、副作用のせいでできないのは悔しくてたまりません。医師じゃなくても構いません。外来にいる看護師さんや薬剤師、誰でも構いません必ず相談してみてください。必ず軽減させる方法があります!
昔吐き気が強くて…昔何度も吐いたから…など以前の経験で拒否される方を見たことがあります。今抗がん剤治療だけでなく支持療法にも多くの新薬が誕生しています。必ず軽減させる方法があります!副作用の軽減は必ずできます。諦めないでください。
答えは存在しない?
最後にこれはないだろう。と思われてしまったら申し訳ございません。正直価値観であるため、やめることも選択肢の1つだと思います。終末期になると本当にできないことが増えてきます。終末期医療にとって、「今日は最も元気な日である」ことが考えられます。その元気な時間を有効活用させるためには、抗がん剤治療が大きな弊害になる可能性も考えられます。ぜひ皆さんで話し合い自分自身が最も納得できる答えを出してください
余談ですが…
冒頭にも少し書きましたが、抗がん剤を続けないと死んでしまうから、「なんでもいいから続けてください」というのは、絶対に避けたほうがいいと思います。特に効果が得られなくなった抗がん剤は、耐性を取られてしまい腫瘍を小さくすることや大きくすることを留めておくことができません。副作用が強いから、投与量を減らしてしまったらなおがん細胞に抵抗することができません。
有意義な残りの時間を過ごすためには緩和医療という非積極的な治療の度合いを高め、自分自身・家族との時間に費やすことを考えてもいいのでないかと思います。
最後までご覧いただきありがとうございます。
読んでいただいた方が、より適切な治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。
薬剤師まさ
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