ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。タイトルにありますようにこれからの季節に注意しなければならないのはインフルエンザです。ただ夏にも流行ることがありますが、12~3月頃に流行してくることが一般的かと思います。
10月の下旬頃から医療機関で投与が可能になってきますので、インフルエンザとがん治療について少しでも参考になれば幸いです。
インフルエンザ
インフルエンザとは
地域によって大きく異なりますが、温帯地域より緯度の高い国々での流行は冬季にみられ、北半球では1~2月頃、南半球では7~8月頃が流行のピークとなる。あまり気温の変動がない熱帯・亜熱帯地域では、雨季を中心としてインフルエンザが発生すると言われております。
インフルエンザウイルスにはA,B,Cの3型があり、一般的にインフルエンザにかかった…。となった場合多くはA型とB型です。A型とB型ウイルス粒子表面には赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という糖蛋白があります。このHAとNAには番号が振られており、A型ではHAには15種類・NAには9種類の抗原性の異なるタイプが存在し、これらの様々な組み合わせを持つウイルスが、ヒト以外にもブタやトリなどその他の宿主に広く分布している。
インフルエンザの予防注射
15×9種類によってインフルエンザのタイプが定まりますので、かなり多くのタイプがあることが分かったと思います。
ここで疑問がうまれませんか?果たしてそのすべてのインフルエンザにワクチン接種で対応することができるのか…
ちなみに今年のインフルエンザワクチンの株はこの組み合わせになっております
○2019/2020冬シーズン
A/Brisbane(ブリスベン)/02/2018(IVR-190)(H1N1)pdm09
A/Kansas(カンザス)/14/2017(X-327)(H3N2)
B/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)
B/Maryland(メリーランド)/15/2016(NYMC BX-69A)(ビクトリア系統)
これは毎年厚生労働省が班会議を開き、どの株を選択すれば発症を軽減させることができるかについて検討を行われております。
インフルエンザワクチンの合成方法
インフルエンザワクチンってどのように合成されているかご存知でしょうか。実はニワトリ様の卵を使って作成しております。
参考文献:2019/20シーズン向けインフルエンザワクチンの製造株について
なので、卵不足になったらワクチンの供給が滞ります。こんだけ練ったウイルスの型番が外れた場合には注射の意味がありません。毎年厚生労働省では会議を行い皆様の安全を守るために検討会議がされております。
インフルエンザの注射の目的
インフルエンザの予防接種は、「不活化ワクチン」を摂取しております。「不活化ワクチン」とは、ウイルスの形をしているが、悪さをしないように活性が落とされている=抗体をつくるために必要な成分のみを、ウイルスから取り出されている物質になります。
インフルエンザワクチンを接種することで、身体が反応し、免疫反応によって抗体がつくられます。抗体があることで、少量のウイルスがやってきた瞬間に破壊行動が起こりますので、体の中でウイルス量が爆発的に増量を抑制=インフルエンザ軽傷で済みます。
インフルエンザのワクチンを接種して抗体ができるまでは2週間程度かかると言われております。一度できた抗体による免疫の持続期間は5か月程度と言われており、インフルエンザが流行する前の11月はじめあたりには予防接種を受けることをおすすめします。
がん治療とインフルエンザ
インフルエンザとがん治療の関係性
がん治療を受けていない方のインフルエンザ予防接種の目的は、重篤化を防止することとなっておりますが、がん治療中においても同様なことが言えます。
海外の報告では、がん患者さんがインフルエンザに感染した場合9%の死亡率が報告されているものや、感染によって死亡の割合は3.1倍高い報告があると言われております。重篤化を防ぐ=感染によって命を落とすことを防ぐために使用しております。
参考文献:Cancer. 2005 Aug 1;104(3):618-28.
これらのデータを考えても絶対にインフルエンザの注射を行う必要があると考えられます。
一部の方では意味がないかも??
ただ一方でインフルエンザワクチンの効果が発揮できない環境の患者さんもいます。それがリツキサンやガザイバ投与中の患者さんです。ワクチンはB細胞を通じて抗体を作らせますが、リツキサンやガザイバによってB細胞が破壊されてしまい抗体を作る効果が弱くなってしまいます=感染症になりやすいと一般的に言われる状態。報告によっては、半年間は効果が落ちるのではないかと言われております。
その他にもがん治療や支持療法の一環として、ステロイドを長期的に服用されている方に関してもB細胞から抗体を合成する作用が低下していることから、インフルエンザの抗体が作れない可能性があります。悪性リンパ腫治療中の方やステロイドを長期的に使用されている方のインフルエンザワクチン接種は担当医と相談することをお勧めします。
インフルエンザワクチンと免疫がん治療の安全性
近年、オプジーボやキイトルーダの投与は免疫システムをいじりがん細胞を攻撃しております。
以前副作用についてまとめたものです
オプジーボとキイトルーダの使用過程での副作用と注意点についてまとめてみました。やはり免疫を薬でいじるということはとても怖い部分はございます。薬によって、「意図していない免疫反応」が出てしまう可能性があります。早期発見、早期対応が望ましいです[…]
副作用が免疫に関連している場合、インフルエンザワクチンによって副作用が出現する可能性が懸念されております。ただ実臨床では大きな問題になっておらず、未だにわからないというのが現状です。専門家の意見として接種を推奨するガイドラインはありますが、十分なデータに基づいた推奨ではありません。担当医とご相談してください。
インフルエンザの予防
いかがでしょうか。かなりインフルエンザワクチンの重要性と不安定さが感じ取るものはないでしょうか。なので予防をしっかりと行って欲しいのです。予防に重要なものは
これに勝るものはありません。日頃からしっかりとしていただけるといいかと思います。また体調が悪い時には無理をせずすぐに医療機関にかかってくださいね
最後までご覧いただきありがとうございます。
読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。参考になった方は下のボタンでシェアしていただけると幸いです。
薬剤師まさ