ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです
巷では、コロナウイルスが爆発的に広がり日に日に患者数が増えていくのが報道されています。SNSではデマ情報が溢れ、マスクの転売や謎のサプリメントの販売などの動きが見えてきました。マスメディアでは、専門家ではない方々が視聴者を煽るようなコメントが目立ち、危険性のみ伝えているのが現状です。混乱しないようにするためにも、不安で押しつぶされないようにするためにも資料を集めてまとめてみました。少しでも参考になれば幸いです。
コロナウイルス
コロナウイルスとは
今回のコロナウイルスはCoronavirus Disease 2019 の頭文字?を取って命名されたCOVID-19とされており、中国で大流行したSARS-CoVや中東で大流行したMERS-CoVと同じファミリーのコロナウイルスです。ただ型が今まで広がりを示したことのないタイプなので「新型コロナウイルス」と呼ばれています。
基本的にコロナウイルスは人畜共通感染症であり、動物と人間の間で感染します。詳細な調査により、SARS-CoVはジャコウネコからヒトに、MERS-CoVはヒトコブラクダからヒトに感染したことがわかりました。感染症を発症した場合、呼吸器症状(ぜえぜえなど)、発熱、持続する咳、呼吸困難が含まれます。より重症の場合には、肺炎、重症の急性呼吸器症候群、腎不全、さらには死を引き起こす可能性があるとされています。
ここに記載されています肺炎や重症の急性呼吸器症候群になっている状態が世の中のマスメディアがいう「重症の患者さんがいる」と報道している状態になります。
コロナウイルスの感染方法
下記の内容が厚生労働省によって報告されています。
空気感染?飛沫感染?接触感染?と謎の感染方法が出てきましたね。この感染経路についてまとめてみます。
感染症のかかり方は3通り
- 接触感染
これは直接的に接触する場合に感染することを指します。皮膚や粘膜との直接的な接触によって生じます。また間接的な影響も考えれます。ドアのノブや手すりなど感染者周辺の環境汚染部位を触り、感染することを接触感染と言われております。
手洗いせず、鼻をほじる行為は自ら感染症を引き起こすことになりますので自爆を意味します。必ず手を洗ってから鼻の掃除をしてくださいね。
- 飛沫感染
飛沫感染は感染者のくしゃみや咳によって飛散することで拡散すること。それをもらってしまうことが感染の理由になってきます。くしゃみや咳によって飛沫に含まれるウイルスが鼻や口の粘膜に付着することで感染します。
くしゃみや咳をする人がマスクをする理由はこの飛沫感染を防ぐためにしております。決して感染症をもらわないためでも一部ありますが、大多数は他人に影響を与えないようにするためとなっております。
- 空気感染
これは飛散したものがあまりの軽さにふわふわと空中を浮いている状態のウイルスを吸ってしまい感染することを指します。これを聞くとめちゃくちゃ恐ろしい感染症のタイプですよね。
これは結核や麻疹、風疹などが言われております。
厚生労働省の見解をもう一度記載します
接触をしないように、しても粘膜につかないようにするために「手洗いうがい」の呼びかけがなされていますよね。これは接触感染が起こらないような呼びかけをしております。
病院も含め感染のリスクは人込みと言っております。人込みでは飛沫をもろに受けやすい状態ですよね。よってこれは飛沫感染を防ぐために呼びかけを行っております。Liveの中止、学会の中止、イベントの中止などが挙げられます。
こう考えると厚生労働省は何もしていないと言っている方がおりますが、しっかりと呼びかけをして感染拡大しないように努めているのがわかります。
コロナウイルスの弱点
今回の新型コロナウイルスは、エンベロープという膜を持っています。一般的にウイルスはエンベロープのあるウイルス(エンベロープ(膜あり)ウイルス)と、エンベロープのないウイルス(ノンエンベロープ(膜なし)ウイルス)に分けられます。エンベロープウイルスは、アルコール消毒剤によりダメージを受けやすいのに対し、ノンエンベロープウイルスは、アルコール消毒剤が一般的に効きにくい傾向にあります。万が一皮膚についていたとしても新型コロナウイルスはアルコール消毒でしっかりと殺菌することができます。手洗いができない場所にアルコール消毒があったらこまめにシュッシュとしましょうね。
結局、手洗いうがいと言われる理由
どうでしょうか。少し、怖さが減るのではないでしょうか。アルコール消毒をしっかりとして、咳エチケットを守るだけでおおよそのコロナウイルスだけでなくインフルエンザや様々な感染症から回避すること、また他人へうつしてしまうこを回避することができるのではないでしょうか。
肺炎とは
日本の死因5位は肺炎
2018年の報告になりますが、日本人の死因として、1位は「悪性新生物(ガン)」でした。 2位が「心疾患(心臓)」、3位が「脳血管疾患」、4位が「老衰」、5位が「肺炎」となっています。以前から肺炎による死亡事例は多く、その肺炎の原因菌は様々なものがあります。
参考文献:日本呼吸器学会. 成人肺炎診療ガイドライン2017 p10
ウイルス性の肺炎は少ないかもしれませんが、菌・ウイルスによって肺炎になった場合には、亡くなる可能性あることを理解しなければならないのも事実です。肺にウイルスを侵入させないためにも手洗いうがいを徹底的にしていきましょう。
よく聞く肺炎:現在のインフルエンザ
ところで最近、インフルエンザの話は聞きますか?あまり話聞かないですよね。
今年度の発生状況は、赤線になりますが毎年に比べてかなり少ないですよね。長い休みが正月にあり、報告が少ない可能性もありますが、日々の皆さんの感染対策が実を結んでいるのではないかと思います。あれだけ毎日満員電車で通勤・通学しているのに、インフルエンザが広まらず。武漢ではあんなに爆発しているのに日本では北海道のクラスターが最大の感染状況。(世界では、豪華客船は日本と認識しておらず船での感染と考えられています。)
ただ、誰か一人でも感染対策を怠れば、回避することはできないので、少なからず伝染しているのが現状なのかもしれません。
インフルエンザにも治療薬があるではないか
インフルエンザウイルスにも治療薬がありますよね。
- ドライシロップ(粉薬)(タミフル 主に小児の方)
- カプセル剤(タミフル 大人用)
- 錠剤(ゾフルーザ)→去年話題になりましたが、今年はさっぱりですね
- 吸入(リレンザ・イナビル)
- 点滴(ラピアクタ)
上記のような治療薬がありますが、基本的にはウイルスの増殖を食い止めます。ウイルスが増えるために必要な一部分を薬剤で食い止める薬です。ウイルスが沢山いるとなかなか食い止めることが困難になりますので、早めに服用することが推奨されています。
昨年に話題になったゾフルーザは、少し異なります。ゾフルーザはウイルスの設計図を破壊する作用を持っていることから、確実にウイルスを破壊します。ただ5~10%くらい耐性菌が出現すると事前の臨床試験でも報告されており、発売後に当然のように耐性菌が出現し騒ぎになりましたよね。ただコロナウイルスも似たような設計図のタイプであり、ゾフルーザが効果を示す可能性がちらほらと…。
コロナウイルスの臨床症状
中国の国内感染状況を把握するチーム(広東省疾病管理予防センター)のLirong Zou氏らが、COVID-19の患者18例について、鼻で高いウイルス量が検出され、ウイルスの広がり方は、ゲノム配列が類似しているSARS-CoVよりもインフルエンザに近いことがわかったことが超有名雑誌で報告されました。
その中で少し気になる記事が、「無症候者から検出されたウイルス量は、発症者のウイルス量と同程度であり、無症候者およびごく軽症者からの感染の可能性を示唆している」というコメントです。実は元気であってもコロナウイルスに感染している可能性があるということです。他人への感染を食い止めるためにもマスクはした方がいいかもしれませんね。
参考文献:SARS-CoV-2 Viral Load in Upper Respiratory Specimens of Infected Patients
コロナウイルスの治療薬
現在、開発段階であり、いくつかの候補が挙げられています。
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カレトラ
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レムデシビル
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アビガン
と呼ばれる薬剤が候補として挙げられております。いくつかは実際に投与されている報告がありますが、実際にどれだけ効果を示すのかはまだ研究段階であり、研究段階の薬に賭けている状態が正しい状況かもしれません。ちらっと先ほど書きましたが、ゾフルーザ同様にいずれの薬剤もmRNAと呼ばれるウイルスの設計図を破壊する薬剤となっており作用機序として新しいものは特にございません。
PCRの必要性と精度
「PCRの測定を」と騒いでおりますが、どれだけその精度や特徴を知っていて言っているのか気になるところはあります。
PCRには100%正確に陽性と陰性を分けることができません。まれに間違えてしまいます。本当は陰性なのに陽性と出てしまう偽陽性、本当は陽性なのに陰性と出てしまう偽陰性があります。これはどんなに性能の良い機械であっても100%の正確にすることができません。
ではどのようにしたら、正確性が上がるのか。
PCRはウイルスの量に準じて正確性が高くなります。臨床症状から推察することはとても大事ですが、コロナウイルスと診断するためにもウイルス量がある程度ないと陰性となってしまうことがあります。
ただ、コロナウイルスと言われても確実に根治できる治療方法も確立していないので、軽症であれば経過観察には変わらないですがね。
がん患者とコロナウイルス
がん患者とコロナウイルスによる影響
明確にデータがあるわけではございませんが、CDC のガイダンス(2020 年 1 月 30 日付け)では、がんの罹患は重症化リスクの一つであるとされています。免疫抑制状態もリスク因子とされているため、抗がん剤治療を受けている患者はさらに厳重な注意が必要なのははっきりと言えます。
ただ今回のコロナウイルスは空気感染ではありません。接触感染や飛沫感染です。必ず手洗いうがいを実施していただくだけで、粘膜からの侵入を回避しコロナウイルスに負けない可能性が高まります。一番は感染している可能性があるところに行かないのが一番です。気分転換に都内へお買い物♪は避けたほうがいいと思います。
インフルエンザとがん患者
コロナウイルスだけではありません。インフルエンザも同様に危険です。海外の研究では、がん患者がインフルエンザにかかった場合には1割弱の方が亡くなるという報告が複数あります。また、インフルエンザに罹患(りかん)した人のうち、がん患者さんでは死亡した人が3.1倍多かったという過去の研究のまとめ(メタ解析)があります。
以前、まとめたものがありますのでご参考までに↓↓
【解説】これで完璧!がん治療とインフルエンザの予防接種
どのような対応が求められる
大きく2つが求められます。
- 人込みにいかない
- 手洗いうがいを徹底すること
この2点に限ると思います。特殊なことをする必要はありません。ただ症状が出ていて数日様子見ても改善しない場合には、連絡をしましょう。何でもかんでもすぐに病院へは最も危険です。
ただし、抗がん剤治療した2週間後あたりの白血球数が低い時期の発熱や体調不良はすぐに連絡して欲しいです。これに関してはすぐに連絡をしてください
2020/04/17 Updateしました。最新情報の追加です
ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。 日本国内ではコロナウイルスが猛威を振るい、人から人へと感染の拡大が止まっていない状況が続いています。都内の発症人数も書いております4/17現在最高人数の201人と方向をされており、[…]
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薬剤師まさ