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がん治療の代替療法

ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。アメリカで「Alternative medicine kills cancer patients(代替療法は、がん患者を殺している)」と2018年に報告されたのはご存知でしょうか。

以前、「もしがん治療をやめるときに考えること」をまとめました。ご参考になれば幸いです。

薬剤師まさブログ

ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。 抗がん剤治療にもいつか終わりがあります。その終わりは治療しなくても良い状態まで回復することができた場合、治療の効果が得られなくなってしまった場合、私が最も避けたい副作用が辛くて続けられなく[…]

今回はがん治療の方法を標準治療ではなく、「代替療法を考えたときに読んでほしいこと」についてまとめました。


「がん治療が効かない時に相談してね。」という広告見ますよね。
もしそれが本当に良く効くなら、がんセンターなんて無くなると思います。そんな世界が訪れたら幸せですよね。

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がん治療の代替療法

代替療法とは

一般的に補完代替療法と呼ばれ、通常がん治療の目的で行われている医療(手術や薬物療法〔抗がん剤治療〕、放射線治療など)を補ったり、その代わりに行う医療のことを指します。健康食品やサプリメントがよく注目されますが、鍼・灸、マッサージ療法、運動療法、心理療法と心身療法なども含まれます。どのような目的で、どのような効果を期待して使うのかなど、補完代替療法の情報を見るときには、その内容についてよく吟味する必要があります。

参考文献:がん情報サービス


標準治療と代替療法の違い

現在ガイドラインに掲載されるには、必ず臨床試験を実施し、多くの患者において有効かつ安全である事を確認しています。そのためには莫大な費用と時間をかけ、世界中の患者さんを対象とし、万国共通のデータを報告。それを吟味して標準治療として認められています。そのため標準治療は世界最高水準の治療であることが断言できます。

一方、代替療法には臨床試験を実施した報告はないものが多く、有効かつ安全である根拠が示されておりません。ほとんどの場合、『どれくらい効いた。どのくらい副作用があった』など具体的な数字はなく、患者さんの体験談や有名病院・大学出身を大々的にアピールしていることがあります


代替療法の有効性を示すデータ

タイトルにある代替療法の有効性について示されている報告は何1つございません。「がんが小さくなった」「がんが消えた」「副作用がない」など夢のような話がありますが、「(抗がん剤と併用して使用していたら)がんが小さくなった」や「(寛解を目指して治療する血液がんを患い、抗がん剤と併用していたら)がんが消えた」のようにカッコ書きが重要にも関わらず、書かれていない状態であったりします。


人間でない治療効果

試験管の中での実験結果で、がんが消えたなど報告例を謳っているものもありますが、同様に起こることはございません。経口投与の場合、腸管から肝臓を通過して全身に巡りますが、この肝臓で約9割無毒化されています。また物質によっては吸収されていません。サルと人間ですら異なる結果が出ます。


Alternative medicine kills cancer patients

代替療法が悪として扱われた理由

とても衝撃的なタイトルかと思いますが、米国の患者を対象に調査したところ、全体的に見て、代替治療を受けた人々が治療を始めてから5年以内に死亡する可能性は、標準治療を受けた人々と比べて2.5倍高かったと報告されております。さらに代替治療を選んだ人々が、5年以内に死亡する危険性は、最大5.7倍も高くなることがわかった研究でした。


代替療法の死亡リスク2.5倍?

がん治療でハーブ療法やビタミン大量投与などの民間療法や代替医療を選択したアメリカの患者さんをモニタリングした観察研究です。文献内の報告になりますが、民間療法や代替療法を選択し、 乳がん患者については代替治療を受けた人々が5年以内に死亡する可能性は、標準治療を受けた人々と比べて5.7倍高かった。大腸がん患者の場合は4.6倍、肺がん患者では2.2倍高かったと記載がありました。

この上記図が全体を示すグラフになっており、上の線が標準治療・下の線が代替療法を選択した患者さんの生きている割合を示したグラフになっております。


標準治療がない≠緩和医療

よく『抗がん剤をしないって私を殺す気ですか?』と耳にします。

はっきり言います。違います!

抗がん剤はなんでも入れればがんが小さくなることはありません。肺がんの治療を白血病に投与しても生存期間は延びません。肺がんには肺がん専用の治療を行います。副作用が必ず出る抗がん剤治療は、有効性と安全性が担保できなければ、投与が推奨されていません。

がんによる痛みのコントロール、がんによる不眠のコントロール、がんによる吐き気のコントロール。これらはいずれも緩和ケアと呼ばれるがん治療の1つです。我々医療従事者は、がんと診断されてからずっと緩和医療を提供し続けています。抗がん剤治療を受けても、腫瘍を小さくすることができない可能性が高くなった状態の時、緩和医療の割合を強くします。


進化する個別化医療

個別化医療の先駆け

近年遺伝子検査の結果に基づいた抗がん剤選択がなされています。またそれは免疫治療にも応用され、治療薬の反応性をがん細胞の特徴を踏まえて選択できる時代に変わってきました。遺伝子検査はさらに保険請求が可能となり、治療選択の拡大に向けた働きが見られます。

薬剤師まさブログ

ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。 最近、がん遺伝子パネル検査が保険償還されましたね。がん遺伝子治療の幕開け?かもしれません。ですが、先走ってはいけません。実はまだまだ問題が山積みでもあります。比較的いいニュースを耳にします[…]

リンク先にも書きましたが、ただお金がなければ受けられないのが現状です。保険適応外の全額負担という大きな壁がまだまだ存在します。


藁をもすがる思いの中の夢の代替療法

国はがんが根治できるのであれば、これ以上医療費が膨れ上がらないため、どんなことでもやると思います。それが民間療法や代替療法で治ることがあると思いますか?

私はそれはないと思います。民間療法や代替療法を選択する事は、個人の価値観にもよりますので、否定することはできません。ただ、治ることや生存期間の延長がないと思った上で受けて欲しいと願います。

やっぱり抗がん剤治療に戻りたい。といってもタイミングが悪ければ治療再開ができません。よく考えて、医療従事者に相談しても構いません。色々な方の意見を聞いた上で、納得した治療を選んでください。


最後までご覧いただきありがとうございます。 

読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。

薬剤師まさ

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