ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。
がん治療中にしゃっくりで悩んだことがありませんか?悩むまで困らなくても、突然しゃっくりが出現し、驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんなしゃっくり(吃逆)について、紹介したいと思います。
しゃっくり
しゃっくり(吃逆)とは
参考文献:MSDマニュアル プロフェッショナル版
上記のように定義されております。「特徴的な音」がならないと吃逆ではないのか?と突っ込みたくなりますが…。「横隔膜が不随意の攣縮」と難しく書いてありますが、横隔膜(肺を伸び縮みさせ、酸素を取り込むために動いている)が痙攣することで、正常に働かずに音が出てしまう状態ですね。
吃逆の種類
大きく分けて3つあります。
- 吃逆発作: 48時間以内
- 持続性吃逆: 48時間以内1ヵ⽉未満
- 難治性吃逆: 1ヵ⽉以上
と、難治性は1か月毎日吃逆が出現し続けている地獄のような状況です。一般的にはすぐ治まる印象をお持ちかもしれません。それは吃逆発作に定義されております。がん治療中の方ですと3日程度続く方も中にはおり、持続性吃逆に定義されてしまいます。
英語での表記
全くタイトルと関係ありませんが、英語では吃逆をHiccoughs・Hiccupsと表現します。
なぜか?
「hic」というSoundと「coughs」という咳を単語を組み合わせて作られた語源とされているそうです。「Hicッ」て感じですかね?世界共通です。
吃逆の原因
横隔膜の痙攣は、左側?
吃逆自体は、なぜ起こるのか・どのような理由で起こるのか判明されていません。吃逆反射は横隔膜の神経から声門呼吸筋の経路のどこかが障害されると起こるとされております。また、横隔膜の痙攣は左側の横隔膜に起こりやすく8割の方は左側で起こっていると報告されております。
生きてきた中で吃逆になったことがありますが、私自身左右差を意識したことがありません。今度意識してみたいと思います。
吃逆の作用機序
吃逆は様々な要因から誘発されることがあります
吃逆発作の要因になりやすいものは
- 胃が拡張している場合:食べ過ぎ・消化管閉塞・内視鏡中の空気の送りすぎ
- 温度変化:飲酒・入浴・喫煙・ストレス
持続性吃逆の要因になりやすいものは
- 迷走神経系のトラブル:急性心筋梗塞・カテーテル処置後
- 横隔膜神経の刺激:腫瘍など
- 中枢神経系の疾患
- 薬剤性
- 心理的要因
が挙げられます。なのでどれが問題になっているかによって発症時間が異なるため、要因を探索していく必要があります。
がん患者における吃逆
抗がん剤治療中において、吃逆を発現する要因の1つに吐き気止めとして使用しているデキサメタゾンによる影響が考えられています。そのため吐き気のリスクが高い治療(シスプラチンベースの治療など)を行う場合には、その治療に見合った吐き気止めの量を使用することから吃逆の頻度が高くなります。
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以前、吐き気止めについて紹介した記事があります。参考にしてください
その他にも様々な原因で誘発される腹部膨満感による吃逆や、脳腫瘍・脳転移によって吃逆が生じる可能性があります。ただ、がん治療中に誘発される吃逆は大多数がステロイドの投与による吃逆が原因と考えられております。
吃逆の治療
劇的に効果のある薬はありません
タイトルに結論を書いてみました。吃逆に対して様々な薬剤の投与が報告されていますが、多くは薬理学的な考えから、作用機序から経験的に使用されている薬剤です。なので劇的に止まる薬はなく、時間が解決している可能性もあります。ですが一般的に処方される薬について紹介したいと思います。
吃逆の薬物治療
用法 | 注意点 | |
内服薬 |
コントミン錠(クロルプロマジン) 発作時:1回分 |
ふらつき・眠気 |
してい(柿のへたをぐつぐつ煮込んだ漢方) |
味に問題あり。美味しくいただけるものではありません。 | |
リボトリール 寝前 発作時:1T |
ふらつき・眠気 | |
注射 |
コントミン点滴静注 (筋肉注射のみ適応が通っており、注意が必要です) |
ふらつき・眠気に注意 α作用があるため、血圧が少し低下します。終末期医療中には注意が必要です |
上記のように一般的に処方されている薬剤について掲載してみました。記載薬剤以外にもバクロフェンや芍薬甘草湯、オメプラゾールなど報告があります。
番外編:物理的な抑制
医療従事者らしからぬ、民間療法を掲載しますが、推奨はしません。
- 驚愕法(驚かせる)
- 深呼吸からの呼吸停止
- 眼球圧迫
- 胃部冷却
- 紙袋5分呼吸法
- 氷水の急激な飲用
- 鼻咽頭の刺激
等があるそうですが、私は時間が解決しているのではないかと思います。一個人としての意見ですが…
最後までご覧いただきありがとうございます。
読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。参考になった方はぜひ下のボタンで拡散していただけると幸いです。
薬剤師まさ