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がん免疫療法のホント?ウソ?

ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。

先週、文春オンラインから「告発者を会議室で“恫喝” 患者を食い物にする「がん免疫療法クリニック」 の許されざる実態」という衝撃的な話がされておりました。私一個人としての意見ではありますが、事実に基づいている記事だと思います。

近年のがん医療は著しく発展を遂げる一方で、がん医療への「患者の積極的な参画」が求められています。またがん医療における診断・癌のタイプ・がん治療・緩和ケア・医療費・生活の質・社会的資源の使い方などほとんど耳にしたことない話を同時に話がされていく現状では、「わかりやすい説明と理解しやすい内容」に耳を傾けたくなると思います。それが間違っている情報だとしても…。

私も先生が説明していたけど全く理解できないから、「お任せします」や「わかりやすい人の治療を受けよう」にならないようこのブログを始めていきました。薬剤師にはこの力があると信じていますし、今まさに求められているチーム医療の1つだと思っています。前置きが長くなってしまいましたが、がん免疫療法の正しい知識を得られるようまとめてみました。

がん免疫療法ってノーベル賞も取ったし話題だよね
みんなに効果があるわけではありません。効果を示さないがんもあります。正しく理解をして、騙されないように自分自身の知識をUpdateしましょう

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がん免疫療法

がん免疫療法とは

がん細胞は日頃から誕生していますが、しっかりと壊されているので増えません。ただ壊されないように隠れてしまうことで、がん細胞が隠れて増えていきます。また増えていく子も隠れる技術を身に着けた複製のため、どんどん壊されず増えてしまいます。隠れるために必要な武器がPD-1/PD-L1というものです。これを使ってがん細胞を破壊する細胞(T細胞)の動きを止めてしまいます。

この隠れるための武器を抑えてしまう薬が「がん免疫療法」で使用する薬剤になっており、体内の免疫(T細胞など)の活性化を持続する(ブレーキがかかるのを防ぐ)治療薬となっています。

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さらにがん細胞にだけ狙って攻撃できるようにがん細胞にだけ攻撃するように加工されたのが、CAR-T細胞治療です。がん細胞を攻撃するT細胞を体外に取り出してから、がん細胞の目印を見分ける遺伝子を入れて増やしてから体に戻す(アクセルを強める)治療方法となっています。3000万の薬ですね

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なぜこんなにクリニックが騒がれるのか

同じ承認された薬を添付文書という取扱説明書に準じて治療することが求められている現在、その範囲を越え「海外ではすでに使うことができる方法」など日本の薬の認可が遅いことで保険適応外になることがあります。

※これは承認するまでの時間が長い理由は、審査が遅いからではありません。臨床試験が世界と同時にできないルールを日本独自のものが制限をかけている状態だからです。(日本人のデータが集まらないから評価できないという状態です)承認するPMDA〈医薬品医療機器総合機構〉は、日々人が少ない中で、選ばれし天才的な方々が、適切な治療薬であるかを判断し、世界でもトップクラスの超高速で薬を承認しております。

それをどうしてもやりたい場合には、「自由診療」という保険に関わらない方法で実施することが可能になっておりますが、副作用が出現した場合にも国が責任をとることはしません。どうしても保険を使った治療を実施している施設には厳しい目が入りますが、自由診療をしているところであれば、国に対して経済的負担がかからないことからも強い強制力が働くことがありません。よってこのような悪質ながん免疫治療とうたっている詐欺まがいな行為が横行しています。


どんな種類の抗がん剤が販売されているのか

よく目にするのは、抗がん剤治療として保険で使用する薬剤が並んでいることが一般的かと思います。ただ謎の治療方法も掲載されていることもあります。下に書きました内容が比較的書かれていることが多いかなと思います。

  • オプジーボ(ニボルマブ),ヤーボイ(イピリムマブ),キイトルーダ(ペムブロリズマブ)などなど
  • 最先端がん免疫療法 『樹状細胞ワクチン療法』
  • ペプチドワクチン(WT1など)

このあたりが、よく記載されています。日頃、このようなサイトを見ないのですが、今回ブログを書くにあたりじっくりと拝見しましたが、凄まじい内容の数々に驚きました。

特に参考文献として英語の論文を掲載しているところもありますが、日本語の紹介と英語の論文の内容に乖離したものが多く、全然参考文献になっていない点です。

驚いたのはすい臓がんに著効するかのように書かれているペプチドワクチンは標準治療であるゲムシタビンと組み合わせて治療をしており、併用することで著効すると記載ありますが、生存期間が得られている期間が700日程度でありました。現在FOLFIRINOX療法とGEM療法を比較した試験では、GEMの生存期間が35か月といかに臨床試験ぽいことをしても質が低いかがわかるのかなと思いましたね。


どんなタイプのがんに免疫は効果を示すのか

最近、新規治療薬として君臨しているがん免疫療法ではありますが、効果を示さないものもあります。どんなタイプに効果を示すのか。それは

がん細胞の変異のしやすさ

です。変異のしやすさはがんの種類によって大きく異なります。がん細胞は変異が少ない白血病には免疫療法が効果がありません。一方で、皮膚がんや肺がんはとても変異数が多いので、治療効果が確認され承認されています。

現在は乳がんにがん免疫療法が承認されましたので、図の真ん中ぐらいまで承認されております。まだすい臓がんではがん免疫治療の有用性について報告はされていません。また治療効果としても乳がんよりも期待しにくく世界中で開発を続けています。日本のひとつのクリニックが世界よりも早く結果を残せていたら、世界中の富豪が集まると思いますし、ステイーブ・ジョブズも生きていると思います。

現在新たな治療方法として、今までの治療薬±放射線∔がん免疫療法が治療効果が高いことが報告されています。これは最近判明した「免疫応答誘導性細胞死(ICD)」が関係していると言われています。この免疫応答誘導性細胞死は特定の抗がん剤や放射線に対し、がん免疫療法が更なるパワーアップが期待される治療方法の1つです。

現にこれは肺がんの術後化学放射線療法の「維持療法」としてがん免疫療法が承認されていたりします。これはまさに抗がん剤∔放射線で免疫応答誘導性細胞死(ICD:immuno- genic cell death)が誘導されやすい環境下を体に作った状態にして、最大のがん免疫効果を発揮させる理論的に完璧な治療方法となっています。高額ですけど・・・。


がん免疫クリニックの治療方法

樹状細胞ワクチン療法

樹状細胞は、直接がんと戦うわけではなく、がんと戦うリンパ球に「この目印を狙って攻撃しなさい」と教えるそうです。先ほども記載した通り、がん細胞は日頃からT細胞によって見回りされています。しかしながら指令されても攻撃されないように「PD-1/PD-L1」を発現させて、攻撃されないようにがん細胞が工夫しています。どんなにT細胞を強化してもがん細胞の逃げ回る仕組みを止めなければ、何の意味もありません。

いくつか論文上に報告されているものがありますが、基本的には患者数が少なく治療効果を比較していません。また患者数が多い臨床試験は抗がん剤と併用しております。先ほども記載しましたが、抗がん剤と組み合わせることによって、効果が相乗的に増大することが予想されます

案の定すい臓がんの報告ではゲムシタビンと組み合わせて実施されていました。ゲムシタビンは腫瘍細胞を溶かすウイルスと併用することで治療効果が高まる報告がすでにされています。臨床研究として抗がん剤と組み合わせて治療する場合には多少の効果が期待できますが副作用は不明です。ただ樹状細胞ワクチン療法単剤であった場合には効果が期待できない可能性があります。注意してください。

少量のオプジーボ、キイトルーダ

クリニックでは少量のがん免疫療法の薬剤が、保険適用外によって高額な金額で投与されていることが散見されます。

これに関しては適応外ではありますが、患者さんの状況やがんの種類によっては効果が期待できる可能性があります。中国から報告されている論文では、比較的早期にとても効果が発揮できることが予想されている患者に対し、クリニックなどで使用されている少量を投与した結果、一定の治療効果が期待される報告があります。

ただ終末期のような方は誰も入っておらず、抗がん剤治療は厳しいと100%言われない人だけを対象としている結果でもあります少量の場合、治療効果が落ちる報告もいくつかありますので、それだけを信じるのは危険です。

現在投与量は固定になりました。オプジーボですと240㎎/bodyになりましたので、60kgぐらいの体重の方ですと4㎎/kgでの投与が予想されます(今までは3㎎/kgで計算して投与しておりました)

活性化自己リンパ球治療

がん治療によってリンパ球が弱ってしまっているため、それを回復することが期待されているそうです。

が、リンパ球が弱っていてがん細胞が増えるのではなく、リンパ球に気づかれないように隠れる力を持っているがん細胞が凄いだけです。攻撃対象から逃れる武器を持っているためどんなに強化してもがん細胞は小さくなりません。

造血幹細胞からリンパ球は作られます。造血幹細胞は血液の根源の細胞です。今あなたの血液検査の値が正常値であった場合、リンパ球は正常にいて正常に働いています。仮に異形リンパ球が多かった場合には、白血病です。


NK細胞療法

NK細胞に関してもT細胞(リンパ球と表現されいるもの)と同様に刺激をすることで活性化しがん細胞を攻撃することを期待しております。ただNK細胞もがん細胞が持っている「自分をがん細胞だと理解させないようにする武器(PD-1/PD-L1)」に騙されてしまいます。どんなに強化してもがん細胞と認知してくれない状態であれば攻撃できません。


AKT-DC療法

見出しを読んでいると、樹状細胞ワクチン療法とあまり変わらないような印象を受けますが、攻撃するT細胞を活性化させるとのことでした。〇〇県がんセンターでの報告例が治療効果を裏付けるエビデンスとして報告されていますが、治療効果が期待できたと言っている図は確かに生存期間が長いことが示されています。

注意しなければいけないのが、

  • 抗がん剤と併用してAKT-DC療法という治療していた結果であること
  • stage4にも期待できることが記載されているが、術後化学療法として試験をしており、基本的には取り除けた後の念には念を入れよと抗がん剤をやった根治に近い人が対象にされた試験であること。
  • 著効した患者群の中には、長期生存が期待できる治療薬を使っている患者がAKT-DC療法群に含まれており、AKT-DC療法を使っていない群には誰もいなかった。(AKT-DC療法をしていなくても効果に差が出る可能性があります)

この辺りを確認する必要があるのかと思います。


最後までご覧いただきありがとうございます。 

読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。少しでも参考になった方はぜひ下のboxをポチっとお願いいたします。

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