ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。
前回、オプジーボとキイトルーダの特徴について、私の勝手な視点《手袋論》を用いて解説してみました。チョットよくわかりませんでしたという方、本当にすいません。
ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです 。 最近、話題のお薬であるオプジーボ(ニボルマブ)とキイトルーダ(ペムブロリズマブ)。抗がん剤治療されている方や関わっている方であれば一度は効いたことがあるかもしれない薬かと思います。現在、[…]
今回は、使用過程での副作用と注意点についてまとめてみました。やはり免疫を薬でいじるということはとても怖い部分はございます。薬によって、「意図していない免疫反応」が出てしまう可能性があります。早期発見、早期対応が望ましいです!少しでも参考になれば幸いです。
免疫チェックポイント阻害薬
オプジーボの対象疾患
- 悪性黒色腫
- 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
- 再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
- 再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌がん
- 化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌がん
- 化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫
オプジーボの副作用
日本人を対象とした様々な臨床試験のまとめになりますが、
- 疲労21 . 9%
- そう痒症14 . 4%
- 下痢13.1%
- 発疹11.9%
- 悪心10 . 8%
- 食欲減退7 . 4%
- 甲状腺機能低下症7.1%
- 関節痛6.2%
という報告が出ています。いずれも軽度なもので、すぐ落ち着いてしまうようなものでありました。
キイトルーダ
キイトルーダの対象疾患
- 悪性黒色腫
- 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- 再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
- がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌
- がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)
キイトルーダの副作用
こちらもオプジーボと同様に日本人を対象とした臨床試験のまとめになりますが、
- 疲労13.6%
- 食欲減退13.6%
- 悪心10.9%
という報告が出ています。いずれも軽度なもので、すぐ落ち着いてしまうようなものでありました。
似ている副作用
ある程度、同じ様な頻度や内容であるように感じませんか?どう薬が反応するかを考えてもそう大きくは異ならないのではないかと思います。なので、これから記載する重大な副作用かつ、すぐに連絡が欲しいものはほぼ同じになりますのでまとめて記載させていただきますね。
免疫チェックポイント阻害薬の重篤な副作用
免疫チェックポイント阻害薬の重篤な副作用は全体で10%程度と言われております。
先程、頻度が高い副作用を記載しましたが、それらが重篤にはあまりなりません。免疫反応が活性化することで自分自身を傷つけてしまうことがあります。そういった免疫関連の副作用が怖い部分がございます。
免疫関連副作用
免疫チェックポイント阻害薬の投与により免疫反応が活性化され、正常な細胞にまで影響を及ぼしてしまう可能性があります。またその副作用は特定の場所が限定されておらず、わからないところがあります。
免疫関連副作用の発現時期
免疫関連副作用は、いつ起こるかがわかりません。とても時間が経ってから起こることがあります。
詳細な副作用名は消しましたが、図にも示した通り治療が終わってから時間が経っているにもかかわらず、副作用が発症している方がいるのがわかります。このようなことからも怪しいなと思ったらすぐ連絡をしてください。
主な免疫関連副作用
※みんなが起こるわけではありません。これに該当する?と思ったらすぐ連絡が必要です!
間質性肺炎
間質性肺炎とは空気を体から取り込む間質に炎症が起こる事で、酸素が取り込めなくなり、酸素を沢山取り込もうと「息切れ」「咳」が誘発され、「発熱」させることで心拍数を増やし、酸素需要をあげようとする症状が出現します。
大腸炎、下痢
オプジーボによる大腸炎は、潰瘍性大腸炎のような症状を来し、下痢が出現します。その後、腹痛や粘血便、発熱などが起こると言われています。
1型糖尿病
1型糖尿病とは、インスリンの分泌に大きく関わる膵臓のβ細胞が破綻してしまい、インスリンが出ない疾患ですが、それがオプジーボによって細胞機能を破綻させてしまいます。急激に口渇・多飲・多尿・全身倦怠感が起こりるとされております。
甲状腺機能低下症
甲状腺は、体の発育を促進し、新陳代謝を盛んにする働きがあります。活動するために必要なエネルギーを作り、快適な生活を送るためになくてはならないホルモンです。オプジーボによって発症する甲状腺機能低下症は、必要なエネルギーが出なくなるため、眼の周りが浮腫む、寒がり、脱力感、倦怠感などが現れる。
肝機能障害
オプジーボによる肝機能障害は、自己免疫性肝炎様の症状が現れます。と言われても、倦怠感や全身が黄色くなる黄疸、食思不振が挙げられます。黄疸も白目がかなり黄色になることがあります。
免疫抗がん剤治療の副作用
先日、ニュースにも取り上げられてましたね。
副作用の発現はまだ解明されていないものも多く存在します。まだ未然に防げる手立てがありません。普段とおかしいと思ったら、すぐに連絡が必要です。早期発見、早期治療して上手に安全に使いましょう!
最後までご覧いただきありがとうございます。
読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。
薬剤師まさ