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最近、話題のお薬であるオプジーボ(ニボルマブ)とキイトルーダ(ペムブロリズマブ)。抗がん剤治療されている方や関わっている方であれば一度は効いたことがあるかもしれない薬かと思います。現在、多くのがん種に適応を取り続けており、時代を変える治療になりつつあります。ですが、やはり抗がん剤治療の1つです。まずはこの薬について正しい知識を情報提供したくまとめてみました。


最近ノーベル賞とったよね
がん治療を変えた日本発信の抗がん剤ですね。免疫療法として初めて認められた治療ですからね

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ニボルマブとペムブロリズマブ

免疫チェックポイント阻害薬

ニボルマブ・ペムブロリズマブは免疫チェックポイント阻害薬と言われており、免疫チェックポイント分子もしくはそのリガンドに結合して免疫抑制シグナルの伝達を阻害することで、免疫チェックポイント分子によるT細胞の活性化抑制を解除します。

えっ…とても難しい。

私なりに簡単にざっくとまとめてみます。悪い細胞を殺すT細胞は、敵なのか味方なのか、判断するために握手をしながら確認します。正常細胞と認識されれば、笑顔で「ごきげんよう」。ただし悪性細胞と認識したら、「アタタタタタタタタッ」「お前はもう…」とやっつけてくれます。ですが、日頃からがん細胞は味方と認識させるための手袋をつけて生活をしております。その手袋をされてしまったら、T細胞が握手しても敵とは認識することができず、がん細胞は攻撃を免れております。この手袋をPD-1と命名していますので、手袋に反応するのがニボルマブ・ペムブロリズマブとなっております。

どうでしょう…伝わります?


どんながん種類にも効果がある?

現在、多くの臨床試験が実施されており、とても有効な治療結果を出し続けている免疫チェックポイント阻害薬。適応もとても多く取得しております。

【オプジーボ:ニボルマブの適応】

  • 悪性黒色腫(初回から選択肢があるよ)
  • 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(初回から選択肢があるよ)
  • 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌(初回から選択肢があるよ)
  • 再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
  • 再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌
  • がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌
  • がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫

【キイトルーダ:ペムブロリズマブの適応】

  • 悪性黒色腫(初回から選択肢があるよ)
  • 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(初回から選択肢があるよ)
  • 再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
  • がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌
  • がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト
  • 不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場
    合に限る)

となっており、似ているお薬であるが一部異なる適応を持っていることがわかるかと思います。


免疫を使用したがん治療の有効性

オプジーボについて見てみます。オプジーボはATTRACTION-2試験という臨床試験にて抗がん剤を投与しないプラセボ群(無治療)と比較して有意に生存期間が延長したと報告があります。無治療‼と思われますが、胃がんの抗がん剤治療をすべて使いきってしまって本来であれば何も治療することができない方を対象としたためです。グラフを載せられませんので、数字だけをPick Upしてきました。

【ATTRACTION-2試験】

  • がんが縮小する患者さん 11% →PR・CRと表現される方
  • がんの進行が止まる患者さん 40% →SDと表現される方(大きくなっていない)
  • 一部の方でなぜか急激に腫瘍が大きくなってしまう方も

という方がいらっしゃいました。あれ?みんなに効果があるわけではないの?とお思いの方がいらっしゃるかと思いますが、現実はこうなっております。

私が何を言いたいかといいますと、よくクリニックなどで行われている保険が効かない免疫療法が危ないと言われております。保険召喚されている・ノーベル賞を取った薬ですら、これだけの患者にしか有効ではないという現実があることです。絶対に騙されないでくださいね。謳っている効果があれば、世界中で採用されているはずです。世の中からがんセンターが消えるはずです。

免疫チェックポイント阻害薬が効果ある人ない人?

適応がないものも存在する

がん細胞は、「自分が味方であることを証明する手袋をはめている」と表現させていただきましたが、その手袋の数は遺伝子変異のしやすさによって変わると言われております。

右側が遺伝子変異が多く、左側に行けば行くほど遺伝子変異が少なくなっております。現在、右側に存在する疾患の多くに免疫チェックポイント阻害薬の適応症を獲得しており、左側に存在する疾患の多くでは有用ではなかった結果が得られております。そのことからもがんの種類によっても有効である可能性が変わってしまうことがございます。


効果がありそうな人

まだ研究段階ではありますが、このような報告もあります。

  •  がん遺伝子変異数が多い
  •  EBウイルス陽性
  • がん細胞におけるPD-L1が陽性
  • ミスマッチ修復機能欠損

がんの遺伝子変異数は疾患事によって異なります。またPD-L1(手袋の個数)も事前に検査しますので、皆さんわかる状態にあると思います。今回私がお話ししたい最新?最近のトレンドにもありますミスマッチ修復機能欠損について紹介したいと思います。


ミスマッチ修復機能欠損

ミスマッチ修復機能欠損とは

細胞分裂時のDNA複製において塩基の設計ミス(ミスマッチ)が生じると、ミスマッチ修復(Mismatch repair; MMR)機構が働き、それを修復します。この修復機構が正常に機能しない場合(dMMR: MMR deficient)、さまざまな遺伝子の異常が蓄積し細胞のがん化が生じると考えられています。 その修復力がない状態をミスマッチ修復機能欠損と表現され、その修復できない状態で設計図を書いてしまったのがマイクロサテライト不安定性(Microsatellite instability; MSI)という状態です。

がんの種類ではなく遺伝子異常による適応

マイクロサテライト不安定性(Microsatellite instability; MSI)が多い(高い)患者において、今回はじめて遺伝子異常で適応を取得したのが、ペムブロリズマブ:キイトルーダです。適応症にも≪不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)≫と記載されております。ついに遺伝子異常に対して治療が始まる時代になってきました。


このMSI-Highは個人の問題だけではない?

この遺伝子異常は遺伝子検査をしなければなりません。支払いとしては3000~6000円程度負担していただく遺伝子検査になりますが、確認することができます。ですが、影響が個人だけではない可能性がございます。

このMSI-Highは「遺伝性のがん」の発見に一部関わっている可能性があることから、ご家族への影響がある可能性が考えられます。とても若くして「がん」になってしまう方の一部に関係があるとされていることから、事前に説明があると思います。


遺伝子治療の時代へ

がんゲノム医療とは

がんゲノム医療とは、主にがんの組織を用いて、多数の遺伝子を同時に調べる(がん遺伝子パネル検査)ことで、遺伝子変異を明らかにします。これは一人一人の体質や病状に合わせて治療などを行う医療です。

現在、実施するための体制づくりが進められています。肺がんが最も進んでおりますが、他にも一部のがんの治療ではすでに標準治療として、がんの組織などを用いて1つまたはいくつかの遺伝子を調べる「がん遺伝子検査」を行い、遺伝子に合う薬が使われています。


まだまだ大きな壁が

がん遺伝子パネル検査を受けても必ず治療法が見つかるわけではありません。現在、高額な検査をして治療に結ぶことができている患者さんが約10%程度です。それでも治療効果が劇的に得られるとも限られていないのが現状です。まだまだ進化させていかないといけない領域なのかなと思いますね。


副作用まで書こうと思いましたが、まずは薬の特徴で第一段としたいと思います。また後日薬の副作用についてまとめてみたいと思います。

最後までご覧いただきありがとうございます。 

読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。

薬剤師まさ

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