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ケモブレインについて

ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです 。

ケモブレインという言葉、聞いたことありますでしょうか。抗がん剤治療されたことによって、脳障害が一時的に起こっているであろうと考えられている副作用の1つです。なにかこれを聞くととても恐ろしい副作用の一種ですよね。私自身Twitterの皆さんの会話を聞く前までは、あまり真剣に調べたことがなかった(恥ずかしい限りです)ので、今回少し調べて情報をまとめてみました。ご参考になれば幸いです。


カタカナで書かれているせいかとても怖いよね。
私も今回初めて調べてみました。ちらっとか聞いたことがなかったので勉強になりました。

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ケモブレイン

ケモブレインとは

ケモブレインとは記憶障害および思考の不明瞭化、または何らかの日常活動を遂行できないといった認知機能の変化である。ケモブレインの原因は特定できていないが、化学療法の脳に対する影響ではないかと考察され、抗がん剤の影響や脳の構造および機能について現在検討されている。

どのくらい起こるの?

一般的に発生頻度は17~70%とされ、記憶力・集中力・作業能力の低下が主な症状であるとされています。(血液がんと乳がんの報告より)


なんで起こるの?

詳しい機序はわかっていないが、発生機序として,抗がん剤による神経伝達物質の障害、脳血流や脳脊髄液の変化、海馬の機能低下が考えられている。また間接的に炎症やアポトーシス、酸化ストレスも関与しているのではないかとも言われています。


本当に抗がん剤の影響か?

一方で、新規診断乳がん患者と健康対照者において調査された報告があり、がんに関連した心的外傷後ストレスが認知機能低下【PTSD】を媒介するとも結論付けた報告もある。正直わかっていないところが現状ですね。


どんながん種になるのか

今回私も詳細まで知らなかったので調べてみました。乳がんや血液がんの方たちの報告が多くありました。そのほかのがん腫は、あまり見つけることが出来ませんでした。(見落としているかもしれません)

長期予後を期待できる乳がんや血液がんを対象としている研究が多いからなのかもしれませんね。他のがん種類の方々も少なからず発生するリスクがありますが、報告例がないのが正直なところです。

どれくらい続くのか

<血液がんでの報告>

  • 化学療法後5年の間に、サバイバーは認知機能のほとんどを回復することができた
  • 喉まで出かかっているような”既知の単語を思い起こす能力に関しては、他の機能よりも回復することが難しかった
  • ある程度の患者さんたちは、化学療法後5年の間に改善がみられた。

<乳がんの報告>

  • 17〜75%が治療後6ヶ月から20年の間に認知機能障害を経験した
  • 化学療法+ホルモン療法の併用、またはホルモン療法のみでも認知機能変化を引き起こすかもしれない。
  • アントラサイクリン系薬剤による化学療法は、ケモブレインに関連しないことが、新しい研究で示されました。
乳がん患者の方が発祥期間が長そうですか、ホルモン剤は現在長期的に服用することが再発抑制、長期生存を期待されており、ホルモン剤単剤での影響があることから納得できる数字ですね。反対に血液がん治療は寛解後は治療継続がないことから、5年のスパンでは回復が得らえる=可逆的な可能性があるということですね。

せん妄と認知症との違い

がんの治療中の認知機能低下として、「ケモブレイン」が挙げらえれていますが、その他にも認知機能低下の原因として、急性発症型認知機能変化である「せん妄」を引き起こすことがあります。がんの進行に伴って意識変容の頻度が高くなっていくことが報告されています。

せん妄について以前まとめてみたものがあります。ご参考に下さい

薬剤師まさブログ

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具体的な相違点

<ケモブレインの症状>

  • 集中力および同時処理能力の低下
  • 最近の出来事に関する記憶力の低下
  • 課題遂行力の低下
  • 思考速度の低下
  • 明瞭な思考力の低下

が挙げられています。

<せん妄症状>

【意 識】

  • なんだかぼーっとする
  • 集中しづらい(TVや新聞が見続けられない、ご飯が食べ続けられないなど)
  • 夢か現実かわからない、寝ぼけたような感じ

【睡 眠】

  • 眠りが浅くなる
  • 日中、眠気が続く
  • 昼夜逆転し、睡眠のリズムが崩れる

【その他】

  • 時間や場所がわからない
  • おかしなものが見える(虫、小さな動物、小人)

が挙げられます。

似ているようで、少し重篤度が異なる印象がありますよね。せん妄の方が、大丈夫かな~。ケモブレインの方が、もうおっちょこちょいだな~と言う印象でしょうか。注意していただきたいPointは発症の速度です。急に良くなることがあるのはせん妄・急に良くならないのがケモブレインです。治療後に回復して普段通りに戻られたのであれば、ケモブレインであった可能性が考えられますね。

<認知症の症状>

  • 体験全体を忘れてしまう
  • 新しい出来事が記憶できない
  • ヒントを与えられても思い出せない
  • 時間・場所の記憶、認識が混乱
  • 日常生活に支障をきたす

と言われており、慢性的な症状が出ていることが認知症の特徴かと思います。


どう付き合っていくのか

忘れてしまわないような対策とリフレッシュしかないのが現状です。突然非医学的な発言で大変申し訳ないところですが、現状改善策が発見されていないのが現状にあります。

やらなければいけないことはすかさずメモしましょう

スマホを使えば、メモや録音も簡単かと思います。例えば、約束事、お買い物リスト、依頼されたこと、服薬スケジュールなどなど。意外に短気ながらも覚えておかないといけないことはありますよね。ぜひメモしてみてください。

特別なことをする必要はありません。普段通りの生活の中で上手につきあっていくことを優先しましょう。

ただ一方で、ケモブレインの辛さは表現することが難しい症状です。見えない副作用は非常に難しく、とても曖昧で共感が生まれにくい部分があります。その結果なかなか他の人に理解してもらえないことがあります。集中力低下や、物忘れ、思い出せないことで自分自身を不甲斐なく思ってしまったり、自信を無くしてしまうこともあるかもしれません。

会社に復帰するのが怖いかもしれませんが、すぐに以前のようなペースで仕事をするのは体力も精神的にもつらくなってしまいます。ゆっくり徐々にでいいと思います。無理なさらず生活し徐々にペースアップしていってください。


最後までご覧いただきありがとうございます。 

読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。

薬剤師まさ

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