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【必見】がん治療中の下痢対策

ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。

抗がん剤治療中の下痢についてまとめてみました。抗がん剤の種類によっては下痢が起こりやすいものもあり、注意が必要な副作用の1つです。特に夏場の下痢はとても危険です!下痢症状から脱水になってしまわないようにご一読いただければと思います。

化学療法および放射線治療に起因する下痢は、cancer treatment-induced diarrhea(CTID)と称されます。がん治療における下痢は、時に重篤な状態になると、重度の脱水になってしまいます。そのため迅速かつ適切なマネジメントが求められます。下痢という副作用に困らないよう上手に対策できるマネジメントを伝授します。


下痢になると水飲みたくなくなるよね。だってまた出てきそうだもん
そうだよね。どの気持ちは良くわかるよ。でもね。水分が出ていったものを補充しないと脱水になっちゃうから水分摂取は必須です。

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下痢症状

下痢症状とは

糞便が本来の固形状態ではなく、種々の要因で糞便中の水分量が増加し水様性になった状態で、1日の糞便中の水分量が200mL、または1日の糞便の重量が200gを超えるものと定義される。下痢はQOLを著しく低下させるだけでなく、治療困難や治療継続の拒否につながる。


がん治療における下痢症状

がん患者の下痢は様々な要因が考えられ、腸管切除後の短腸症候群(水分の吸収が行われにくくなる)広域抗菌薬の長期間使用におけるClostridium difficile関連下痢症(腸内細菌の乱れ)、便秘対策として使用していた下剤の過量投与etc. 多彩な鑑別診断があげられます。下痢が発症の要因探索を行い、適切な水電解質管理を行うことが下痢治療の重要な対策とされています。


下痢が起こってしまったら

  • まずは、乳糖を含む食品やアルコールの中止を行います。そして少量頻回の食事摂取(バナナ、米、りんご、トースト、パスタなど)にて様子をみることが大切です。
  • 十分な水分摂取(1日8-10杯、スポーツドリンクやスープでもよい)。
  • もし下剤を飲んでいたら中止

とされております。とにかく

ミネラルの入った(ポカリ,OS-1,アクエリアスetc.)水分を摂取すること。とにかく下痢で出た分飲むぐらいしっかりと水分摂取をし、下痢→脱水を回避しましょう

下痢に対する薬剤の使用

ロペラミド

食事を調節してもなお止まらない時は、ロペラミドを1mg服用し、下痢の時もしくは4時間毎に1mgお飲みください。それでも止まらない時には病院に連絡しましょう。どうしても大変な場合には多く飲んでも安全性は報告されています。我慢できない場合には、追加で飲んでもオッケーです。その理由が下のポイント!に記載しています。

ロペラミドを初回4mgその後は4時間毎に2 mgもしくは下痢の度に2 mg(16 mgを超えない)24時間経っても改善しない場合は、ロペラミド2 mg 2時間毎に増量と海外では記載されております。万が一止まらない場合には、沢山飲んでしまっても問題ありません(※この内容は海外の報告を参考にしています。日本でのロペラミドの保険適用は1日2mgまでとなっております。)

タンニン酸アルブミン

タンニン酸アルブミンは、止瀉薬に分類され、下痢を緩和する薬剤になっております。タンニン酸に腸管の動きを止める効果を持っており、膵液によって徐々に分解してタンニン酸が遊離され、全腸管にわたって緩和な収れん作用を及ぼし止瀉作用を示すとされております。

ロペラミドとタンニン酸アルブミンのセット?

タンニン酸アルブミンもロペラミドも下痢止めとして使われていますが、一緒に飲むと効果倍増!ではなく、効果減弱!です。お互いの飲み合わせが悪いので、ロペラミド単体にして量をしっかりと飲みましょう。

下痢を起こしやすい抗がん剤

フッ化ピリミジン系抗がん剤

ゼローダ:カペシタビン、

UFT:テガフール・ウラシル、

TS-1:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム

が含まれます。これらは、腸管粘膜障害により下痢を引き起こすとされていますが、全員が起こるわけでもなく、程度も個人差があります。


イリノテカン

イリノテカンによる下痢は、主に点滴中に起こるとされている投与開始24時間以内に発現する早期性下痢と、それ以降、特に投与数日後に発現することが多い遅発性下痢の2種類に分けられます。大腸がんのFOLFILIやすい臓がんのFOLFILINOX、胃がんや肺がん領域など、多くのがん種に用いられています。早期性下痢はしっかりと薬剤でコントロールできますので、即日対応します。遅発性に関しては、対策として記載したものと同様な対応でオッケーです。


ジオトリフ

肺がん治療の飲み薬になりますが、とても下痢症状がでる薬剤の代表例かと思います。ジオトリフは、内服後には程度は個人差がありますが、必ず下痢が出現します。そのため、下痢を上手にマネジメントしながら治療を継続していくことが求められます。


ポイント:1ジオトリフは、ほぼ100%下痢をきたします。2初回発現時よりロペラミドで対処し、脱水に十分注意します。3少し緩い便(軟便)でのコントロールを目指します。4ロペラミドは1日最大10mgまで。超える場合はジオトリフを休薬します。


ニンラーロ

多発性骨髄腫治療の飲み薬になります。個人差がありますが、下痢症状が比較的多い薬剤の1つかと思います。ジオトリフのような強い下痢が出る方は稀で、ロペラミドの服用でコントロールできる薬剤です。上記にありますフローチャートを参考にしてみてください。


その他にも

  • シタラビン:キロサイド
  • ドセタキセル
  • エルロチニブ:タルセバ
  • シスプラチン
  • ゲフィチニブ:イレッサ
  • メトトレキサート
  • ソラフェニブ:ネクサバール
  • ドキソルビシン
  • スニチニブ:スーテント
  • エトポシド
  • イマチニブ:グリベック
  • マイトマイシンC
  • セツキシマブ:アービタックス
  • アクチノマイシンD
  • パニツムマブ:ベクティビックス
  • アベマシクリブ:ベージニオ

が挙げられます。

抗がん剤治療中の下痢は、原則上記にあります図の通りに対応する事が重要です。また下痢だからこそ水分摂取が必要です。


最後までご覧いただきありがとうございます。 

読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。

薬剤師まさ

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