ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。
日本で開発されたTS-1は様々ながん種に使用されており、とても良い薬だと思います。海外では副作用が日本人に比べて多く、なぜが日本人に合っている抗がん剤の1つでもあると思います。そんなTS-1もやはり抗がん剤ですので、副作用対策が必要になっております。少しでも有用な情報提供ができればと思いまとめてみました。
TS-1(ティーエスワン)
TS-1(ティーエスワン) とは
ティーエスワンはこの5-FUのプロドラッグであるテガフール(FT)に2つのモジュレーター、ギメラシル(CDHP)とオテラシルカリウム(Oxo)を配合することにより、5-FUの効果を高め、副作用を軽減することを目的として開発された経口抗悪性腫瘍剤とされております。
- 5-FU
細胞を構築するRNAのウラシルにフッ素という物質を付けた偽ウラシルが5-FUです。RNA(設計図)の合成の時に偽ウラシルが入り込む(設計ミス)ことで、違法物件と認識され、壊されてしまいます（アポトーシス）。そんな作用機序をしており、いい細胞・悪い細胞関係なく壊すため副作用が出現します。
- ギメラシル(CDHP)
これは抗がん剤ではありません、テガフールがフルオロウラシル以外に代謝されることを防ぐ作用があります。分解されないようにすることで、体内でのフルオロウラシルの濃度を上げ、効果を高めるためのものとされております。
- オテラシルカリウム（オキソン酸カリウム）
フルオロウラシルの消化器毒性を軽減するための胃薬だと思っていただければと思います。
このような3種類の薬で構成されております。
TS-1の適応症
胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌に適応が通っているとされております。色々な治療方法に使用されております、
主な治療方法
通常、成人には初回投与量（1回量）を体表面積に合せて次の基準量とし、朝食後及び夕食後の1日2回、28日間連日経口投与し、その後14日間休薬する。これを1クールとして投与を繰り返します。4投2休という表現をされることがあります。
しっかりと服用したい術後化学療法
術後補助化学療法（Adjuvant:アジュバント←これラテン語なんですね。書いてて初めて知りました）という使い方があります。これは胃がんの術後補助化学療法と膵がんの術後補助化学療法の2種類がございます。
術後補助化学療法は手術後にがん細胞は消えたと思われるが、念には念を入れよいうことで、雑草の根っこを断ち切ろう作戦の治療方法です。胃がんは1年間・すい臓がんは半年間の飲む期間は異なりますが、服用することで再発率の低下・延命期間の延長が得られております。
TS-1の副作用（代表的なもの）
悪心・嘔吐 ・食欲不振
悪心（吐き気）の発現率は、単独の内服では20%程度・シスプラチンと組み合わせた場合もう少し高くなります。嘔吐は10%弱であり、同様にシスプラチンと組み合わせた場合高くなっております。吐き気時・嘔吐時に注意して欲しいのが、脱水です。特に嘔吐が続く場合は脱水になります、水分摂取をしてください。水すら飲めない場合は、即病院へ連絡です。
ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。 抗がん剤と聞いただけで、トイレにこもって出てこれない辛い吐き気や嘔吐のイメージございませんか？ご飯も食べれないというイメージございませんか？起こってしまうと本当につらいですよね…。 今回は[…]
下痢
下痢は1コース目（内服して28日目くらいまで）が最も出現する可能性が高いとされております。飲み始めて１日に7回以上下痢になってしまう場合には、休薬が検討されます。病院にご連絡してくださいね。下痢している最中に実行しにくいですが、水分摂取は必須です。こちらも水が出ていってしまってます。脱水には注意しましょう。
口内炎
口内炎は投与開始2〜3週目に多く発現しています。口内炎が発現すると、疼痛ばかりでなく、それに伴う食事摂取の意欲低下や、治療継続の意欲低下などのQOLの低下につながります。食事がとれないぐらい痛みがあったりする場合には、必ず病院に連絡して欲しいです。
ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。 皆様からコメントをいただき、とても嬉しいです。その反面、もう少し早くお伝えできたら良かったと思うお言葉をいただき、頑張らねばと奮起しております。 本日は口内炎についてまとめてみたいと思いま[…]
味覚障害
ティーエスワンによる味覚変化、味覚異常、味覚減退、味覚消失などの味覚障害の報告がされておりますが、原因がわかっていません。味蕾細胞への影響ではあると思いますが、メカニズムまでは解明されておりません。なかなか味覚が変わると食べにくくなると思います。のど越しのいいもの・さっぱりしたものを選びながら食べてみてください。
ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。 抗がん剤による味覚障害はとても苦しいです。まず食事を摂ることが困難になり、体重減少・食欲不振になることも多々あります。また医療スタッフにも「頑張って食べましょうね」「家に帰ったら食べれるよ[…]
色素沈着
ティーエスワン投与後2～3週目頃より顔面、爪、手、足などに色素沈着が発現することがあります。肌に関しては、日焼け止めを必ず塗っていただきたいです。皮膚トラブルの防止にもなるため、外出時には日焼け止めをご使用ください。
流涙
ティーエスワンによる流涙は半数の症例が投与開始から3ケ月以内に発現しています。比較的軽度のため、目薬（ヒアレインなど）で洗い流してあげるだけで軽減されますし、市販の目薬でも問題ありません。薬剤師に相談してみてください
TS-1との飲み合わせ注意薬剤
フェニトイン
フェニトイン、アレビアチン、ヒダントールという商品名で発売されています。TS-1に含まれているテガフールによって、フェニトインの代謝が抑制され、フェニトインの血中濃度が上昇するとされております。フェニトインの血液濃度が上昇すると吐き気や頭痛が出現すると言われており、服用している場合にはご相談ください。
ワーファリン
ワルファリンカリウムの作用を増強することがあるので、血がさらさらになりすぎてしまい、出血した場合止まらなくなってしまいます。採血によって調整することができますので、必ず服用している場合にはご相談ください。
市販のサプリメント
サプリメントには様々なものが含まれおり、TS-1との相互作用があるかもしれません。飲んではだめとは言えませんが、飲んでいることを隠さないようにしてください。正直にお話ししてもらえると助かります。
最後までご覧いただきありがとうございます。
読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を１日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。
薬剤師まさ