ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。
抗がん剤と聞いただけで、トイレにこもって出てこれない辛い吐き気や嘔吐のイメージございませんか?ご飯も食べれないというイメージございませんか?起こってしまうと本当につらいですよね…。 今回は抗がん剤による吐き気・嘔吐についてまとめてみたいと思います。そして吐き気抑えるPointもまとめてみました。
いくつか吐き気にも種類があります。敵を知り、どのタイプの吐き気が出てしまったのか、どう対処することが軽減できるのか、ぜひこれを参考に自分の症状を的確に医療スタッフへ伝えてください。
抗がん剤による吐き気・嘔吐の特徴
吐き気・嘔吐を引き起こす原因としてよく知られているのが、抗がん剤によるがん治療です。抗がん剤によって脳の嘔吐中枢が刺激を受けてしまって、吐き気・嘔吐を生じます。
ご紹介させていただきたいと思います。
抗がん剤による吐き気・嘔吐の種類
点滴すぐに起こる急性期悪心・嘔吐
点滴後数日から起こる遅発性悪心・嘔吐
点滴していないのに起こる予期性悪心・嘔吐
抗がん剤の種類と吐き気の誘発度(点滴)
吐き気のランク |
治療方法/商品名(がん種) |
高度催吐性リスク(とても高い) | AC療法(乳がん) |
シスプラチン含有(食道がん等) | |
大量エンドキサン(骨髄移植) | |
FOLFIRINOX療法(膵がん) | |
中等催吐性リスク(やや高め) | ビダーザ(骨髄異形成症候群) |
FOLFOX/FOLFIRI/XELOX(大腸・胃) | |
トレアキシン(濾胞性リンパ腫) | |
カルボプラチンを含む治療(肺がん等) | |
軽度催吐性リスク(軽い) | パクリタキセル(胃がん・乳がん等) |
ドセタキセル(前立腺がん・肺がん等) | |
ゲムシタビン(肺がん・膵がん等) | |
ハラヴェン(乳がん・軟部肉腫) | |
最小度催吐性リスク(ほぼゼロ) | ▲▲▲マブ(抗体製剤) |
抗がん剤の種類と吐き気の誘発度(内服)
吐き気のランク |
治療方法/商品名(がん種) |
高度催吐性リスク(とても高い) | プロカルバジン(リンパ腫) |
中等催吐性リスク(やや高め) | ボシュリフ(慢性骨髄性白血病) |
グリベック(慢性骨髄性白血病) | |
ザーコリ(肺がん) | |
テモダール(脳腫瘍等) | |
軽度催吐性リスク(軽い) | タシグナ(慢性骨髄性白血病) |
スプリセル(慢性骨髄性白血病) | |
アレセンサ(肺がん) | |
ゼローダ(胃がん・大腸がん・乳がん) | |
アフィニトール(乳がん等) | |
TS-1(胃がん・大腸がん・乳がん) |
吐き気が起こりやすい人がいる?
治療開始前に、吐き気・嘔吐を生じやすい体質・要因をチェックしておくことも大切です。チェック項目には下記のようなものが挙げられます。
- 若年である
- 女性である
- 副作用に対する不安が強い
- 前の治療で強い吐き気があった
- 乗り物酔いをしやすい
- 妊娠時につわりがひどかった
- アルコールの常用の有無(お酒に弱い方)
重要なのは予防
急性期悪心・嘔吐の予防
種類:セロトニン5HT3受容体拮抗剤
お薬:カイトリル/グラニセトロン(点滴), ナゼア(内服), アロキシ(点滴)
遅発性悪心・嘔吐の予防
種類:ステロイド
デキサート(注射),デカドロン(内服)
種類:NK1受容体拮抗剤
イメンドカプセル(内服),プロイメンド(点滴)
上記の急性・遅発性に対する治療薬は、治療方法に合わせて最も適した薬剤を準備されております。抗がん剤治療開始と同時に始まったりしている薬剤かと思います。確認してみてください。
予期性悪心・嘔吐の予防
種類:抗不安薬
お薬:ワイパックス(内服),ソラナックス(内服)
防げなかったときの対策(治療)
他にもノバミン,ドンペリドン,ナウゼリン,トラベルミン,アタラックスPなど、多くの吐き気止めがあります。患者さんによって良く効く薬は本当に違います。ぜひ吐き気が治まらなければ医療従事者にご相談下さい。
患者さんからよくある質問と回答
最後までご覧いただきありがとうございます。
読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。
薬剤師まさ