ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。
とうとう出ましたねキムリア!3349万円と超高額な治療薬。再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)および再発又は難治性のCD19 陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を対象として、国内で初となるキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法が通りました。待望のCAR-T療法。そんなキムリアについてお伝えしたいと思います。
CAR-T
CAR-Tとは
私のイメージはゴーリキーからカイリキーに進化させて、腫瘍細胞を捕まえやすく壊しやすくする感じでしょうか…
どんな人が適応?
再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)と再発又は難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)が適応になっております。
さらに詳細な決まりごとがあり、
【再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)】
- 初発の患者では標準的な化学療法を2 回以上施行したが寛解が得られない場合
- 再発の患者では化学療法を1 回以上施行したが寛解が得られない場合
- 同種造血幹細胞移植の適応とならない又は同種造血幹細胞移植後に再発した場合
【再発又は難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫】
- 初発の患者では化学療法を2 回以上、再発の患者では再発後に化学療法を1 回以上施行し、化学療法により完全奏効が得られなかった又は完全奏効が得られたが再発した場合
- 濾胞性リンパ腫が形質転換した患者では通算2 回以上の化学療法を施行し、形質転換後には化学療法を1 回以上施行したが、形質転換後の化学療法により完全奏効が得られなかった又は完全奏効が得られたが再発した場合
とルールがとても厳しくなっています。
となっておりすぐには使うことができず、何度か再発している方に限られています。巷ではとある有名人が白血病になったから急いだと言われておりますが、再発しておりませんので適応外です。
どのくらい効果がある?
B-ALLを合併した小児、若年患者に対し、3カ月以内の完全寛解率は81 %で、とても深い寛解であった(微小残存病変は治療効果が認められた全例)。再発していない割合は6ヶ月で73%、1年間で50%でありました。DLBCLで奏効率(完全奏功+部分奏功)が53.1%という成績が報告されています。
一回限りで、現在ニュースなどで期待され、時には新たな治療方法で夢の薬と言われているが、B-ALLでは1年で半分の方が治療効果が得られませんし、DLBCLはもう少し成績が悪そうですね。メディアに踊らされてはいけません。
アメリカでは5000万?日本では安い?
今回の薬価収載では、3349万円とアメリカよりも安く設定されました。その理由としては算定の仕方に違いがありました。アメリカは成功報酬にしていますが、日本では全例に薬剤費がかかることから値段の相違があります。
日本で治療した場合の負担額は?
ざっくりとお話しすると年収が約500万円の人がキムリアを使った場合、40万円程度の負担が発生すると思われます。
平成27年1月診療分から
所得区分 | 自己負担限度額 | 多数該当※2 |
①区分ア (標準報酬月額83万円以上の方)(報酬月額81万円以上の方) | 252,600円+(総医療費※1-842,000円)×1% | 140,100円 |
②区分イ (標準報酬月額53万~79万円の方)(報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方) | 167,400円+(総医療費※1-558,000円)×1% | 93,000円 |
③区分ウ (標準報酬月額28万~50万円の方)(報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方) | 80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1% | 44,400円 |
④区分エ (標準報酬月額26万円以下の方)(報酬月額27万円未満の方) | 57,600円 | 44,400円 |
⑤区分オ(低所得者)(被保険者が市区町村民税の非課税者等) | 35,400円 | 24,600円 |
総医療費とにキムリア費用約33,490,000円が追加されます。
- 区部ア:579,080円
- 区分イ:496,720円
- 区分ウ:412,330円
- 区分エ:57,600円
- 区部オ:35,400円
という計算になっております。低所得の方は現在の法律上負担額は一定になると思います。日本の法律は神ですね。またそれ以外にも医療費がかかりますので、キムリア代がこの金額と理解していただければと思います。
どんな副作用があるの?
サイトカイン放出症候群
サイトカイン放出症候群とは、T細胞が活性化されすぎるとサイトカイン(反応物質)が過剰に放出され、発熱、悪寒、悪心、倦怠感、頭痛、低血圧などの症状が発現する場合があります。サイトカイン放出症候群(CRS)(77%,58/75 名)であり、重篤なCRS は63%(47/75 名)に発現しましたが、死亡に至ったCRSはありませんでした。ですが、とても重篤な方もいらっしゃったことで、誰でも簡単に治療ができるわけではないですね。
他にも開発されているCAR-T
CD3320やNKG2Dリガンド、CD123などの抗原に対するCAR-T 細胞が開発され,臨床試験の結果が公表されている。私の大注目であるB細胞成熟抗原(BCMA : B-cell maturation antigen)に対するCAR-T 療法の臨床試験は先月発表され、衝撃的な結果でもありまだまだ進化します。
もはやマニアックすぎて読む方を無視した状態ですね。申し訳ございません。
実際の治療の流れ
①アフェレーシス(自分自身の血液を採取)→②投与前に抗がん剤投与→③キムリア投与という流れになっております。白血球アフェレーシスを行ってから、キムリアの製造を行い、治療を行う病院に届くまで最短で5~6週間程度かかります。意外に時間がかかりますよね
血液を加工するには海外で準備をする必要があり、非常に時間がかかってしまいます。そのため2か月程度は要する形になっております。
最後までご覧いただきありがとうございます。
読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。
薬剤師まさ
↓↓シェアボタンでさらに多くの方へ情報発信してただけると助かります↓↓