ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。
ハーセプチン・リツキサンが抗がん剤のバイオ後発品として発売されましたが、アバスチンの後発品であるベバシズマブBSが発売されます。アバスチンは、日本国内における2018年度の販売売り上げにおいて第2位(2017年度は1位です)とされ、非常に大きく国内が変わることが予想されます。ファイザーさんや第一三共さんから販売されることが決まりました。ベバシズマブBSについて紹介したいと思います。
ベバシズマブBS
ベバシズマブBSとは
ベバシズマブBSは、抗悪性腫瘍剤/抗VEGF(血管内皮増殖因子:けっかんないひぞうしょくいんし)ヒト化モノクローナル抗体であるベバシズマブ(遺伝子組換え)製剤のバイオ後続品(バイオシミラー)です。VEGFとは腫瘍細胞が栄養を確保するために必要な血管を自分自身に引き込むための工事申請するような成分です。そのVEGFを正常に働かせないように工事申請を取り下げて、がん細胞を兵糧攻めにする薬剤になっております。血管の正常化作用も持ち抗がん剤の治療効果を高める可能性も秘めていると言われております。
適応症
- 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
先発品のアバスチンとの違い【適応症】
- 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
- 扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- 卵巣癌
- 進行又は再発の子宮頸癌
- 手術不能又は再発乳癌
- 悪性神経膠腫
上記の適応がアバスチンにはありますが、大腸がん(結腸・直腸癌)以外の使用は承認されていないため、いきなり変わってしまうということはないかもしれませんが、行く行くは変わってくことが予想されます。
先発品のアバスチンとの違い【品質】
アバスチン(先発品) | ベバシズマブBS(後発品) | |
長期投与試験 | いずれのロットも試験開始時と比較して変化は認められなかった。 | 実施期間を通じて品質特性に明確な変化は認められなかった。 |
加速試験の結果 | IECにおいて3ロットともに試験開始時と比較して主ピークが減少し、それに伴い酸性領域及び塩基性領域のピークが増加する傾向が認められた | ???における ???の増加及び ???の減少が認められた。 |
苛酷試験(温度) | 変わらない | 加速試験で認められた品質の変化に加えて、 ???における???の減少、における ???の減少、 ???の増加並びに ???における ???の減少が認められた。 |
苛酷試験(光) | 変化なし | 製剤は光に不安定であった。 |
機構は、Man5 の含量の差異はわずかであること、また、電荷不均一性の差異に関して、H 鎖 C 末端リシンを有する分子種は標的抗原との結合性等に影響を与えないとされていることから、これらの差異が有効性及び安全性に影響を及ぼす懸念は低く、本剤と先行バイオ医薬品の品質特性は類似しているとする申請者の説明は受入れ可能と判断した。
と記載されており、似ているし違う部分で効果が変わることはないから大丈夫でしょうと判断されております。
点滴後の薬剤の濃度
血液中に点滴された場合、すべて先発品と同じレベル(ほぼ誤差がない程度)に推移しており、血液中の薬物濃度に大きな違いはないことが確認されております。
バイオシミラーの治療効果
先発品であるアバスチンと比較した臨床試験(B7391003 試験)があり、生きている期間・再発する期間はいずれもアバスチンと同等の結果でありました(わずかに後発品の方が成績がいいが、統計学的には同じぐらいの効果)。
ベバシズマブBSのまとめ
- ベバシズマブBSは先発品であるアバスチンと品質特性はとても類似しており、生物活性は本剤と先行バイオ医薬品で同様であると考えられます。
- B7391001 試験において体内の動き(薬物動態)はほぼ一緒(同等性が確認)です。
- B7391003 試験において、大腸がんだけでなく肺がんにおいても同様な結果であり、癌種が異なることで治療効果が変わることもないと思われる(まだ肺がんには適応がありません。今後取得されます)
薬剤師まさが考える今後の方針?
医療機関の導入は?
リツキシマブBSに比べ、ベバシズマブBSは治療成績に疑問を持つデータではなくしっかりと効果が発揮できると思われますので、変更は積極的に行われると思われます。ただ品質では少し先発品と異なります。生物製剤でもあり、アレルギー反応のリスクが少なからずありますので医療現場はその点について注意していく必要があると思います。
費用負担
アバスチン | ベバシズマブBS | |
1バイアルの値段(400㎎) | 161,885円 | 未収載(原則7割) |
まだいくらか出ていないのが現状なので、断言できませんがバイオ後発は原則先発品の7割と言われておりますので、112,000円当たりになるのかと思います。ただ基本的には高額医療費に含まれてしまうため、支払額はやや下がる程度の実感しかないかもしれません。
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薬剤師まさ