ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。
最近よく耳にする言葉【ジェネリック】という言葉ですが、調剤薬局やドラッグストアでお薬をもらう際に耳にしませんか?実は病院で抗がん剤治療に使用されている薬剤も徐々にジェネリックに置き換えらえています。断言します‼
ジェネリックと初めて聞く方も多いかと思いますが、今回は抗がん剤のジェネリックと生物由来製剤のジェネリック=バイオシミラーについてご紹介したいと思います。
ジェネリック
ジェネリックとは
ジェネリック医薬品の承認条件として、「先発医薬品と品質・有効性・安全性」が同等である。
- 有効性が同一
- 投与経路が同一
- 効能・効果、用法用量が原則同一であること
として記載されております。重要なのは
ということである。医薬品を承認するにあたり、ある程度の基準内に収まればOKでしょうということになっております。新しく作り直しているのもが同じになることはないと思いますよね…。
ジェネリックの値段
ジェネリックは安くなると言われておりますが、実際に安くなります。ジェネリックが初めて承認する場合、先発品の70%分として設定されております。
新薬開発にかかる期間は9~17年かかると言われ、開発費も500億円程度かかると言われております。それに比べて、ジェネリック医薬品は新薬ですでに有効性や安全性が確認された有効成分を使って開発されるため、開発費が少ない。このことからも安い価格で設定されております。
ジェネリックの効果
ジェネリックは新薬と同等性を見ています。同等性を見るために
- 規格試験(純度が正確か)
- 溶出試験(体内でどのように溶けるか)
- 生物学的同等性試験(体内に吸収するスピードが同等か)
- 安定性試験(長期間保存していても大丈夫か)
これら4つを評価することで、同等性かどうかを確認し、定めた基準をクリアした薬品のみ承認されます。
ただし、錠剤を作る成分は先発品と異なります。構成される成分にアレルギーをお持ちの方は、皮疹(ぼつぼつ)が出たり先発品ではなかったものが出現する可能性があります。その点は注意が必要ですね。
抗がん剤のジェネリック
抗がん剤のジェネリックは、他のジェネリック同様に試験を行い承認をされております。ですが、それは経口薬の話。注射薬の場合は少し異なります。注射薬は直接血液の中に投与されますので、
- 規格試験(純度が正確か)
溶出試験(体内でどのように溶けるか)生物学的同等性試験(体内に吸収するスピードが同等か)- 安定性試験(長期間保存していても大丈夫か)
と直接体の体内動態のデータはございません。事実、薬を承認しているPMDAにもこのような記載がございます
経口剤などでは吸収された後の血中濃度が先発医薬品と同様の挙動を示して
いるかどうかを確認するため生物学的同等性試験を行う必要があります。
しかしながら、有効成分が完全に溶解した注射剤で、血管内に投与するもの
については、血中濃度の推移を変化させる要因がそもそも存在しないため、生物学的同等性試験を行う必要はありません。
抗がん剤のバイオシミラー
抗がん剤のバイオシミラーとは
近年、抗がん剤にもバイオ製剤が増えてきている中、悪性リンパ腫の歴史を大きく変えたバイオ製剤の先駆者『リツキサン』の特許が切れ、『リツキシマブ』として、バイオシミラーが誕生しました。他にも乳がんの予後不良因子とされていたHER2陽性を劇的に変えた『ハーセプチン』も『トラスツズマブ』として販売されました。今後、大腸がんで活躍している『アバスチン』が『ベバシズマブ』として登場する予定です。
抗がん剤のバイオシミラーの値段
抗がん剤のバイオシミラーの効果
同等であると考えられているため、承認されているのが現状にあります。それは国の審査委員会(PMDA:医薬品医療機器総合機構)によって審査されているため、ある程度担保されているのが現状です。
リツキサンのバイオシミラーである、リツキシマブBSに関するデータはPMDAの審査報告書から入手することができます。とても難しいですが…
簡単にまとめてみました。そこではリツキサン(先発品)とリツキシマブBSの非劣性試験(一緒を証明する試験)で同等性が証明されました。証明された対象患者群は濾胞性リンパ腫(FL:Follicular lymphoma)を対象とされた臨床試験であります。
現在初回治療で推奨されている薬剤は、
- リツキシマブ+トレアキシン(ベンダムスチン)療法
- リツキシマブ+CHOP療法
- リツキシマブ+CVP療法
- ガザイバ(オビヌツズマブ)+トレアキシン(ベンダムスチン)療法
- ガザイバ(オビヌツズマブ)+CHOP療法
- ガザイバ(オビヌツズマブ)+CVP療法
とされております。どれが1番有効かはわかりませんが、この中から治療される方にとって最もベストな方法を選択して治療が開始されます。今回のリツキシマブの同等性を調べるために実施した臨床試験は、CVP療法のみを対象に証明されています。
濾胞性リンパ腫の方に対して、リツキサン+CVP療法 V.S. リツキシマブ+CVP療法が同等であると証明されたことが、リツキシマブ+トレアキシンやCHOPも含めていいのか?濾胞性リンパ腫以外のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に当てはめても本当に同等なのか?と疑問があります。
ですが、企業側は「CD20細胞を攻撃することには変わらないから効果も一緒だと考えるため問題なく承認して欲しい」という意見に対しPMDAは「OK」という形になっています。
そんな心配に反して、実臨床ではすでに動き始めており、ニュースでも取り上げられております。
協和キリン リツキサンのバイオ後続品、想定上回る進捗 コスト意識高い医療機関に需要
と報道されているように採用が始まっております。私自身も血液内科領域に携わる薬剤師として、医師と多くのディスカッションを行いました。
抗がん剤のバイオシミラーの承認方法
ちらっとこの前でもお話ししましたが、承認方法は必ず臨床試験をしております。リツキシマブは約300人ずつに分けて臨床試験を行った結果になりますので、とても大規模な臨床試験を実施して承認されております。今後抗がん剤のバイオシミラーが増えていくことが予想されますが、これに関してはジェネリックと異なりガチンコ対決で変わらないことを証明しないと承認されないと思われますので、ジェネリックの中ではとても厳しい審査を通ってきている=お墨付きをもらっているという状態かと思われます。
オーソライズドジェネリックとバイオセイム
オーソライズドジェネリックとは
先発品の会社から作ってもOKという許可を得て、作り方を聞いて作成するため限りなく先発品に近い形であるものをオーソドライズドジェネリックとされております。これは予測ですが、製造方法が同じの場合には添加物もある程度同じものを使用しないと精製できない可能性がありますので、本当に一緒に近いと考えられます。
バイオセイムとは
これでもかと例外にも対応ができるよう「など」と入っておりますが、やはりこちらも同様に製造方法が同じの場合には添加物もある程度同じものを使用しないと精製できない可能性がありますので、本当に一緒に近いと考えられます。バイオセイムに関しては生物学的な力を使って作成しますので、本当に同じに近いと思われます。なので価格の安く効果が全く変わらない、経済的負担が軽減された医薬品だと考えます…企業がかわいそうですが。
患者さんからよくある質問
最後までご覧いただきありがとうございます。
読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。
薬剤師まさ