ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。
今回は便秘症状について取り上げてみたいと思います。便秘に悩んでいない方からすると「ん?」と思われますが、便秘で苦しんでいる方は意外に多いかと思われます。
抗がん剤治療中に誘発される便秘は非常に難敵です。腹部膨満感だけでなく、そこから気持ち悪さや嘔吐にまで発展してしまうこともしばしばあります。そんな症状が少しでも緩和できるよう情報をお伝えしたいと思います。
便秘症状
便秘症
実は深刻な問題になりつつある?
超高齢化に伴って深刻な慢性便秘症が増えている現状があります。患者の生活の質(QOL:Quality of Life)を考慮した際には優先的に取り組むべき問題と認識されてきている。
日本における便秘の有病率の推移では、60歳代までは女性が圧倒的に多いが、その後男性の便秘症も急増し、70歳以上では男女とも非常に高くなっている。
便秘症状の原因
加齢による蠕動運動の変化や、環境の変化(運動量の減少、併存疾患、処方薬、食事量の変化、精神状態の変化など)が便秘症を増やす要因と考えられている。
便秘=薬の副作用?
便秘が起こりやすい抗がん剤
抗がん剤による便秘症状の出現は、消化管(主に胃や腸)の運動を調節する自律神経やホルモンバランスに影響を与えてしまいます。そのため、ホルモンや自律神経によって調整されている蠕動(ぜんどう)運動が起こりにくくなり、排便を促せないことから便秘になることがあります。
抗がん剤 | 主な治療方法 | がん種 |
パクリタキセル | カルボプラチン+パクリタキセル | 胃がん・乳がん等 |
オンコビン | R-CHOP療法 | 悪性リンパ腫等 |
ナベルビン | シスプラチン₊ビノレルビン | 肺がん |
ナブパクリタキセル | ナブパクリタキセル₊ジェムザール | すい臓がん等 |
上記にあるような薬剤を使用している場合、便秘は必発かもしれません。積極的に下剤を使って回避しましょう。
便秘が起こりやすい抗がん剤のサポート薬
抗がん剤によって引き起こされる吐き気に対して用いる吐き気止めや、オピオイド鎮痛薬には、便秘を引き起こす働きがあります。
吐き気止め | |
商品名 | 種類 |
グラニセトロン/カイトリル | 点滴・飲み薬 |
ナゼア錠/OD錠 | 飲み薬 |
イメンドカプセル | 飲み薬 |
アロキシ | 点滴 |
プロイメンド | 点滴 |
プリンペラン/メトクロプラミド | 点滴・飲み薬 |
ナウゼリン・ドンペリドン | 飲み薬 |
ノバミン | 飲み薬 |
便秘治療薬
便秘治療薬の種類
大腸刺激性の下剤
- プルゼニド(センノシド)
- アローゼン
- ラキソベロン(ピコスルファート)
- 大建中湯
- ☆アミティーザ※少し作用が異なります。
塩類下剤(水分調節)
- マグミット(酸化マグネシウム)
- 重カマ(重質酸化マグネシウム)
便秘治療がもたらすメリット
抗がん剤治療による便秘にて肛門が切れてしまう場合、感染の原因になったりすることがあります。傷口になります‼おしりにいるばい菌が、血液中に入り込むことで発熱することがあります。
お尻が痛いって恥ずかしくて言いにくいですよね…肛門が切れる前に柔らかくして防ぎましょう‼
※私は「痔になってませんか?」とドストレートに聞きます(笑)
患者さんからよくある質問と回答
便秘の定義にもありますが、排便のペースは個人差があります。2日間に1回の方であれば、そのリズムが変わらなければ問題ありません。3、4日と出ない日が続いて初めて便秘になります。個人個人のリズムが崩れたら便秘と覚えましょう。
ブリストルスケールという指標が存在します
- タイプ3-5であればOKです。調整ばっちりです。
- タイプ1.2であれば塩類下剤(水分調整)を積極的に使ってみましょう
- タイプ6.7であれば下剤を減らすor中止してみましょう
最後までご覧いただきありがとうございます。
読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。
薬剤師まさ