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適切なオピオイドの使い方と依存症について

ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。

この朝日新聞でも取り上げられた乳児のオピオイド依存症ご存知でしょうか


がん治療において、オピオイドは生活の質を維持する上で必要不可欠な薬剤になっています。私もオピオイド依存症に?と恐怖にならないよう正しい情報を発信しようとまとめてみました。少しでも参考になれば幸いです。


オピオイドって依存するって聞いたことあるから怖い
依存してしまう可能性は確かにあります。ですが使い方を正しくすることで、依存になることはなく、痛みを上手にコントロールできるとても良い薬です。

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オピオイド

オピオイドとは

麻薬のもとであるケシから合成される化合物を指します。このオピオイドには鎮痛作用や鎮痛、陶酔作用があり、また薬剤の高用量の摂取では昏睡、呼吸抑制を引き起こすとされています。医療においてオピオイドは、がんによる痛みの緩和において必要不可欠な薬剤です。

オピオイド依存症

オピオイド依存は、オピオイドが作用する場所のバランスが崩壊する事で発生します。オピオイドは三箇所《μ、δ、κ受容体》作用する点が存在し、それぞれのバランスを取ります。 大きく分けて2つにわけることができ、多幸感が得られる作用点と嫌悪感が生まれる作用点があります。このバランスが崩れる事で依存が生まれます。


がんの痛みがある時には依存しない?

タイトルにも書きましたが、痛みがある時にオピオイドを使用しても依存にはなりません。

痛くても依存になるのが怖いから使うのを我慢するというのは間違った考え方です。

安心してください!痛みが抑えられる量は個々によって異なりたとえ多くても?多く感じていても自分自身にとっては適量であり、依存にはなりません。

≪それは、なぜ?≫

先程記載したバランスが重要になっています。3つの受容体のいずれに働いても痛みは抑制することができます。ですが痛みが強い場合、多幸感は強くなりますか??嫌悪感だけが強くなり、多幸感は薄れますよね。

痛みのコントロールができていない場合、多幸感の作用+痛みを抑える効果を追加してあげる事で、バランスが安定してきます。 では、嫌悪感がない状態で使用したらどうでしょうか。 多幸感だけが高くなります。この多幸感には精神的依存を誘発させる力を有しています。嫌悪感がない状態になりますので、依存症になってしまいます。

次の図は緑丸が重たいと痛みがとても強くなり、嫌悪感が増します。赤丸が重くなると多幸感が増えることを表した図になります。

オピオイドを使っても使っても痛みが取れなければ、嫌悪感は改善されません。痛みがない状態でオピオイドを使用することで赤丸が重くなり、バランスは保たれますので依存症を誘発することはありません。


日本人は痛みを感じない?

この図は医療用麻薬の使用頻度を示した図です。特段日本の使用量が少ないことがわかるでしょうか。アメリカやドイツがかなり使っているのも問題ではありますが、この図を見た海外の医療従事者は「日本人は痛みを感じない人種なのか?」と聞いてきたそうです。

生活の質を高めるために痛みをしっかりと取りましょう。

ニュースで取り上げられた乳児のオピオイド依存

オピオイドの使用は胎盤通過性・乳汁移行性が報告されています(海外データ)。

  • 妊娠中のオピオイドの服用てによって出産後24時間以内に新生児に退薬症状が出現すること
  • 分娩時のオピオイド投与で、新生児の呼吸抑制・心拍数低下例
  • 授乳中の母親に投与したオピオイドの0.8~12%が乳児に吸収されたと報告

先程のように痛みがない状態で使用した場合、乳児も多幸感が強い状況が続きますので、依存症になってしまいますよね。


アメリカでの問題

アメリカでは、医薬品のオピオイドによる死亡は、他の医薬品や違法薬物を抜いて最多であり、2010年の死因ファイルによる38,329例の中毒死のうち16,651(43%)を占めています。オピオイド系鎮痛薬による中毒死は、アメリカでは1999年から2011年とを比較するとおよそ4倍に増加したと社会問題になっています。

がん患者の認可治療薬である舌下フェンタニルスプレー薬「サブシス」《日本未販売》でもニュースになっていましたね。正しい使い方をすれば、とても使いやすいであろう薬であったのに…と感じてしまいます。これは企業のプロモーションが最悪であり、それに踊らされる医師も悲しい限りですが。


デマ情報に惑わされないで

大切な事はもう一度言います。

痛みを取るのに必要なオピオイドは個々によって量が異なります。あなたが多いと感じていても痛みが治まれば、それがあなたの適量です。 我慢せず痛みを軽減させ、楽しい生活をする事が大切だと思います。間違った知識に惑わされないでください。

最後までご覧いただきありがとうございます。 

読んでいただいた方が、より安全な治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。

薬剤師まさ

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