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すぐに連絡が欲しい抗がん剤の副作用

ご覧いただきありがとうございます。薬剤師まさです。

外来で抗がん剤治療中、耐え難い副作用に見舞われたことはありませんか?治療される方からしたら、そんな副作用にならないように準備する事が求められますが、どんなに準備をしていても少なからず出現してしまう可能性もあります。

とても辛いけど、外来受診日近いからどうしよう…先生忙しいかな…など、皆さんの優しさのあまり自身の身体の状態を後回しにしてしまう話を聞きます。なので辛いのを我慢しすぎないためにもこんな症状があったら連絡してほしいことを紹介します。


何かあったら連絡してって言われたけど、いつ連絡していいの?
基本的には当直の先生もいるのでいつでもいいですよ。安全に治療できるよう本当につらくなった時は連絡してください!
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副作用症状と対策

抗がん剤治療による副作用

主な抗がん剤治療の副作用(外来治療)

抗がん剤治療における副作用として、白血球などの血液成分が減少すること、減ることによって感染症が起きたりする事があります。また身体で感じる副作用としては、発熱や倦怠感(かったるさ)、食欲不振、気持ち悪さ、不眠、精神的ストレスなど、書ききれないほど多岐にわたります。

完全に全ての副作用を取り除くことは、現在の医療技術では不可能です。出現しないように準備をしておりますが、やはり多少なりとも副作用は出てしまいます。いかに軽減する事ができるかが薬剤師の使命だと考えて仕事しております。私はですよ…。


重篤な副作用とは

重篤な』と言われるととても難しいですが、医療従事者が一律に同じように評価するための指標(CTCAE : Common Terminology Criteria for Adverse Eventsという共通指標 )を用いて、Grade3以上(入院が必要なレベルの副作用の一定の指標)のことを重篤な副作用と表現します。

Grade3以上の副作用と言われても…なんだそのGradeというものは‼となってしまいますので、外来治療中にすぐ来てほしい(Grade3以上)代表的な副作用をまとめてみました。

  • 発熱性好中球減少症
  • 間質性肺炎
  • 1日7回以上起こる下痢
  • 痛くて動けない痛み

などが挙げられます。

これらは、詳細な原因探索が必要になるので、ほとんどの割合で入院していただく可能性が高い副作用かと思います。


何かあった時の連絡先確認の必要性

重篤な副作用が出現した場合、かかりつけの先生(風邪ひいた時に診てもらう医師)よりも抗がん剤治療に伴う副作用治療となるため、抗がん剤治療を受けている病院に連絡することを推奨します。必ず何かあった場合の連絡先、連絡方法を確認しておきましょう。

起こりやすい副作用として先ほど挙げた疾患の具体的な症状についてまとめてみました。

発熱性好中球減少症

発熱性好中球減少症とは、抗がん剤治療によって好中球が減少している際(だいたい抗がん剤初日から数えて10~14日程度)に、体温が37.5度以上に発熱した状態のことを「発熱性好中球減少症」と呼びます。

主に感染症が発熱の原因となるため、感染症を抑えるために点滴の抗菌薬や、解熱薬を使用し対応します。命にかかわる副作用のため入院していただく必要があります。

間質性肺炎

経験したことない息切れや息苦しさなど、突然の呼吸困難感が出現した場合、間質性肺炎の可能性があります。特徴的な症状として、痰がからまない乾いた咳が続く場合、とても注意が必要です。

間質性肺炎だった場合、ステロイド剤の点滴治療を行う必要があります。間質(酸素を体の中に取り込む肺の中の部分)に炎症が起こるため、とても苦しいです。酸素を吸いながら点滴治療を行うため入院が必要です。

耐え難い腹痛

病気や治療によって、腸内の食べ物や水分の流れが悪くなることがあります。その影響で便やガスが出なくなり、おなかの強い痛みや吐き気が出現することがあります。一般的にイレウス(腸閉塞)と言われる副作用です。大腸がんの方など腸管を手術した際、できた創(きず)周囲の炎症や、炎症の影響で腸が互いに癒着(ゆちゃく)するために腸が狭くなっていること、薬物の影響で腸の動きが弱くなるなどの原因で起こります。

基本的には狭くなってしまったところは、ステントなど入れ物理的な処置が必要になる場合もあり、入院での治療が必要です。また食事の摂取ができずに体重減少も激しいことからすぐにご連絡欲しい副作用です。

下痢 

下痢には様々な要因があります。抗がん剤治療の副作用として、抗がん剤自体に問題がある場合・感染症によって下痢が起こる場合・がん自体の影響で下痢になる場合があります。下痢が発現する時期に特徴があるため、まとめてみました。

背 景 判 断 薬 剤

FOLFIRI療法などイリノテカンを使用している方

【コリン作動性誘発の下痢の場合】

投与中~24時間以内の発現【鼻汁、流涙など症状】

アトロピンやブチルスコポラミンなどの抗コリン薬の投与で症状緩和から改善まで期待できます。
抗がん剤投与後の腸管粘膜障害による遅発性の下痢の場合 投与
7~10日後に発現
1日4回くらいまで ストッパのような市販で販売されているお薬と同じような種類の薬で対応する
3~7回くらいまで ロペラミドなどの腸管運動をしっかりと抑えこむ薬を使用する
1日8回を超える場合 ロペラミドなど腸管運動を抑える薬を使用しながら、さらに抑える薬を追加+乳酸菌製剤
感染リスクが高い場合 白血球・好中球が減少時期(点滴後から10~14日後)、の感染症の可能性が高い場合 乳酸菌製剤(抗菌剤の併用が想定される場合には、耐性乳酸菌製剤)
抗がん剤投与1週間後からの下痢には注意する必要があります。回数が多い場合には、必ず水分摂取してください。「下痢なのに飲めない」と言われる方多いですが、体に必要な水分が流れておりますので脱水になります回数が多い場合には、絶対に連絡してください。また感染症による下痢は多くの場合、発熱が出現します。回数が少なくても発熱がある状態で下痢がある場合にもご連絡ください。

突然発生した痛み

いつも通り痛み止めを服用しているにもかかわらず、耐えられない痛みが止まらない場合は、すぐに連絡ください。痛み止めを飲んでいても耐えられない痛みが続く場合、がんそのものによる痛みの影響が考えられます。

放射線治療など痛みを緩和させる方法は薬以外にもございます。ご連絡ください。

上記の記載内容に該当しない場合

何事も『急』な悪い変化は連絡することを考えて下さい。当日中に我慢できない事があればすぐ連絡です。

ダメだと思ったら午後まで粘らず午前の方がいいです。なぜなら外来中でないと検査する機械が動いていない可能性があります。迅速に検査ができますので日中。特に午前中が最もベストです!

心配だから電話するはNG!

これは守って欲しいところがございます。具体的には心配でも身体に問題なければ、様子を見てください。不安な気持ちがあるのもわかりますが、医師は目の前の患者さんを全神経を集中させて、見逃しがないように診察をしています。体調が悪くなければ連絡は避けましょう。医療相談など気軽に相談できる部署があります。そこで医療従事者が重篤と判断した場合、しっかり担当医に繋いでくれます。直接医師ではなく、相談場所にご連絡してみてください。


患者さんからよくある質問と回答

熱っぽいんですが、解熱剤飲んでいいですか?
抗がん剤治療中であれば、突発的に出た発熱に対して解熱剤を服用するのは避けてください。身体の症状と相談しましょう。辛かったら連絡して下さい。辛くなければ翌日まで様子を見て下さい。酷くなるような事があれば、翌日まで待たなくてもかまいません連絡をしましょう。大丈夫そうなら、そのまま様子を見て下さい。
発熱したら飲むように言われた抗生物質飲んでるのに、良くならない。身体がさらに辛くなってきた。
即連絡して下さい。感染症に対する治療が最良でない可能性があり、違う薬が必要です。入院でないと治療できません。すぐにご連絡下さい。

最後までご覧いただきありがとうございます。 

読んでいただいた方が、より安全な抗がん剤治療を受けられるように願っています。また元気な時間を1日でも長く・楽しく・素敵な思い出を作れるよう、副作用を気にしないで生活できるように貢献できるよう情報を発信していきたいと思います。

薬剤師まさ

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